【アジア・ユニークビジネス列伝】
「見えない商品、自販機で」
「犬型ロボ、現場のお供に」
それを売るのか、そんなサービスがあってもいいのか。アジアは日本では思いもよらない商品やサービスに出会う。斬新で、ニッチで、予想外。「その手があったか!」と思わずうなってしまう、現地ならではのユニークなビジネスを紹介する。
【シンガポール】
「見えない商品」をPR
中国雑貨店の玩具自販機
中国の生活雑貨店大手、名創優品(メイソウ)は、ブラインドボックスと呼ばれる中身が見えない玩具商品の自動販売機をシンガポールに設置した(NNA撮影)
中国の生活雑貨店大手、名創優品(メイソウ)は7月、ブラインドボックスと呼ばれる中身が見えない玩具商品の自動販売機をシンガポールに設置した。同様の自販機設置は同社にとって初めて。
メイソウは今年初め、キャラクターグッズなどのブラインドボックス商品を発売した。「Z世代」と呼ばれる1990年代半ば以降生まれの若い世代をターゲットに、自販機での販売も展開していく。
「クマのプーさん」「ミッキーマウス」など米ディズニーをはじめとするキャラクター製品を購入できる(NNA撮影)
1号機は、シンガポール中心部にあるZ世代に人気の大型商業施設「サンテック・シティー・モール」に設置。実店舗で売れ筋の商品9種類を扱い、価格は9.9~14.9Sドル(約800~1,200円)と若者が気軽に買える金額に設定。カードやQRコードを使い「ウィーチャットペイ」や「アリペイ」といった電子決済での支払いも可能だ。
同社のロビン・リュウ副社長兼マーケティング部門最高責任者は「ブラインドボックスは刺激的なブランド体験を提供する。若者の消費ニーズに対応し、彼らとつながるための新しい手法だ」と語った。今後、市内計5カ所に設置する計画だという。
メイソウは日本人デザイナーの三宅順也氏と中国の企業家、葉国富氏が2013年に創業。「日本から世界へ」をキャッチコピーに、「MINISO」ブランドの生活雑貨店を、世界95カ国・地域で約4,600店舗展開する。シンガポールでも商業施設を中心に数多くの店舗を構え、昨年10月には米ニューヨーク証券取引所への上場を果たした。
【動画】自動販売機は左に商品、右にサンプル、中央に操作用のタッチパネルと決済装置がある(NNA撮影)
【韓国】
「犬型ロボ」現場のお供に
現代自が事業活用へテスト
現代自の傘下、ボストン・ダイナミクスの四足歩行ロボット「スポット」(現代自提供)
現代自動車グループは、今年6月に買収した米ロボット開発会社のボストン・ダイナミクスが手掛けた四足歩行の犬型ロボット「スポット」を事業現場に配置する。建設や製造分野での導入効果をテストし、物流や自動運転車などの分野でもロボットの活用を拡大していく計画だ。
下半期にも、傘下の現代建設が手掛けるグループ新社屋「グローバルビジネスセンター(GBC)」(ソウル市江南区)の建設現場で、配置に向けたテストを行う。スポットが建設現場の危険な場所で精密な写真を撮影するなど、工事の完成度向上に寄与すると期待されている。
6月29日には、同グループの広報大使を務める男性音楽グループ「BTS(防弾少年団)」がスポットや人型ロボット「アトラス」と共にダンスする動画を公開した。若い世代にもロボット技術を身近に感じてもらえるよう、継続的なマーケティングを行っていく。
また、今後は各国の販売店や見本市にも展示する方針だ。スポットは現在、現代自のソウル市瑞草区の本社に展示されているが、8月からインドネシア、カザフスタン、ベトナムなどで紹介する。まずは8月末にインドネシアの販売店でお披露目した後、9月にジャカルタで開かれるモーターショーにも出品する。
カザフスタンでは8月から現代自の販売店舗1~2号店に展示するほか、ベトナムでも店舗1~3号店で来年2月から披露する予定だ。同グループが先端分野に挑む姿勢を世界にアピールする。
BTSの振り付けをまねるスポット(現代自提供)