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アジア本NOW
ビジネスパーソンにおすすめのアジア関連書籍を、新刊を中心に紹介するコーナー。NNA編集スタッフが選んだ今号の本は、『コンビニからアジアを覗く』(佐藤寛、アジアコンビニ研究会編、日本評論社)。
アジア 経済
コンビニからアジアを覗く
佐藤寛、アジアコンビニ研究会 編
アジアのコンビニ事情を専門家が徹底解説
1970年代にアメリカから日本にやってきたコンビニエンスストア。その後、独自の進化を遂げた日本型コンビニは、新たなビジネスモデルを引っ提げてアジア各地に進出。現地の文化を柔軟に取り入れながらさらなる変身を遂げ、人々の暮らしに欠かせない存在となった。
そんなアジア各地のコンビニ事情について、日系コンビニ各社の展開を中心に経済学と社会学の視点で解説したのが本書。編者は日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の佐藤寛氏と、同研究所のメンバーらで構成されるアジアコンビニ研究会。20人から成る執筆陣も、マーケティングや流通、文化人類学などの研究者とあり、内容はかなり専門的。アジアのコンビニを網羅的に扱ったおそらく初の書籍で、読み応えは十分だ。
登場するのは、日本、韓国、タイ、台湾、中国、フィリピン、マレーシア、インドネシア、カンボジア、ベトナム、インドの11カ国・地域。資料に基づく分析だけではなく、中国の若者世代を対象にした日系コンビニに関する意識調査、おにぎりといった日本型コンビニの定番商品のローカル化戦略など、読み物としても楽しめる現地発のリポートも充実している。ちなみに、ベトナムのファミリーマートで売り出したおでんは、辛みと酸味の効いたトムヤムスープがベース。現地の嗜好に合わせたアレンジが功を奏し、大人気だとか。
日本型コンビニの基準は、良質な店員の接客態度、商品の品質の高さ、店舗の清潔さを意味するSQC(Service, Quality, Cleanliness)だとされていると佐藤氏。コロナ禍の中、身近にある日本型コンビニが「開いててよかった」とアジア各地で重宝されている光景が目に浮かんだ。
『コンビニからアジアを覗く』
- 佐藤寛、アジアコンビニ研究会 編 日本評論社
- 2021年6月30日発行 税込み2,640円
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※書籍の紹介文は各出版社の宣伝文から引用(原文ママ)。価格は全て消費税込み
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