【アジア・ユニークビジネス列伝】
「農村で牛糞から電力生成」
「スマートランドリー登場」
それを売るのか、そんなサービスがあってもいいのか。アジアは日本では思いもよらない商品やサービスに出会う。斬新で、ニッチで、予想外。「その手があったか!」と思わずうなってしまう、現地ならではのユニークなビジネスを紹介する。
【インド】
農村で牛糞から電力生成
日系が発電システム提供
インド南部カルナタカ州・ベンガルール(バンガロール)にあるアイシンのバイオガス発電の実証場所(アイシン・オートモティブ・ハリヤナ提供)
世界最大規模の牛乳の生産国であるインドの農村部で、家畜の牛や鶏の糞をバイオガスに変換して発電する取り組みが始まっている。飼育農家にシステムを提供するのは日系企業で、同国での市場開拓を目指す。
アイシン精機のインド法人アイシン・オートモティブ・ハリヤナ(AHL)は、南部ベンガルール(バンガロール)で同社のバイオガス発電技術の実証を進めており、まもなく国内でシステムの提供を開始する予定だ。
発電に用いるのは、酪農家や養鶏業者が日々処理に追われる牛や鶏の排泄物を含む、農村部のバイオ廃棄物。これらをメタン発酵させてガスに変える。
発電システムは、アイシン独自のガスエンジン発電機「コレモ」を使用。1立方メートルのバイオガスで1時間当たり1.5キロワットを発電し、酪農設備、搾乳機、制御室、酪農場の照明などに利用する。余ったガスは調理への使用や販売が可能な他、廃棄物から農業用の有機肥料を供給することもできるという。
実証はベンガルールの南西部で実施。機能面のノウハウや技術的な専門知識はアイシンが提供しているが、日々の消耗品や地域の支援は、地元で酪農場を運営する「スリ・バギャラクシュミ・ファームズ」が担う。同酪農場は100頭以上の牛を飼育する。
AHLの上級技術顧問(研究開発、R&D担当)を務めるベンガテサン氏によると、既に実証は成功した。「アイシンのシステムは牛60頭以上を飼育する酪農場に最適で、国内のそれらの酪農場の経営者がターゲットだ。農村コミュニティーによる電力の自給自足を目指している」と語った。
同社は多くの問い合わせを受けており、バイオガス発電の市場の成長に期待を見せる。ただ、市場の成長には時間がかかる可能性もあるという。(NNAインド Atul Ranjan)
【韓国】
「スマートランドリー」登場
アプリで予約や支払い手軽に
LG電子が欧米やアジアなど約30カ国で運営する「ランドリーラウンジ」(同社提供)
韓国のLG電子は4月20日、スマートフォンで支払いや予約が可能な業務用洗濯機を十数台設置したコインランドリー「スマートランドリーラウンジ」をフィリピン・マニラにオープンしたと発表した。
コロナ禍で非接触決済の需要が増えていることを受けて、LG電子は専用のスマホアプリ「LGランドリーラウンジ」を通じた洗濯機の予約や決済、洗濯・乾燥のコース選択などを可能にした。アプリを使えば、洗濯の進行状況の確認や終了時に通知を受信することもできる。
また、店内にはLG電子の衣類用クリーニング機「スタイラー」も設置した。スタイラーはクローゼット型の家電で、中に衣類をつるすと水蒸気などで除菌やシワ取りができる。
LG電子は、欧米やアジアなどの約30カ国で業務用洗濯機と乾燥機を設置したコインランドリー「ランドリーラウンジ」を運営している。