合言葉は「ニューノーマル」
商機をつかむ企業戦略
新型コロナウイルス感染症に翻弄(ほんろう)された2020年が終わった。年が明け、ワクチン接種による収束に期待が集まる一方、コロナ前に戻ることはできないと予測し、新常態を意味する「ニューノーマル」に向けて各業界は動き始めている。NNA POWER ASIAから関連記事をセレクト。
インドで二輪車シェアリングを手掛ける新興企業の代表格がユールー(Yulu)バイクス。自社の電動スクーターにまたがるアミット・グプタCEO(同社提供)
インド
コロナ禍で移動の選択肢に
電動二輪シェアの需要増NNA POWER ASIA 2020年12月10日付
新型コロナウイルス禍で打撃を受けたインドのシェアモビリティーサービスの中で、電動を含む二輪車のシェアリング(レンタル)需要が増加している。感染への懸念から公共交通機関を避ける傾向が続く中、自家用車を持たない労働者階級や若者が、他人と接することなく安心かつ安価に移動できる手段として利用。専門家は「需要はコロナ前の1.2~1.5倍に増えた」と指摘する。コストパフォーマンスに優れた電動車が特に注目で、二輪のシェアリングサービスを展開する各社は電動二輪の保有数拡大を計画している。
フィリピン
日系車各社、ネット販促本腰
コロナ対応、需要掘り起こしNNA POWER ASIA 2020年12月7日付
フィリピンに進出する日系自動車各社が、オンライン店舗やバーチャルショールームなどを相次ぎ開設している。新型コロナの感染拡大を機に、非接触に対応した販促活動に本腰を入れるとともに、コロナ前から計画していたデジタル化を推進する狙い。コロナ禍で自動車市場は低迷しているが、従来の対面販売では届かなかった購入層などの需要を掘り起こす。
ミャンマー
「新常態」適応の企業増加
3割、事業継続へのリスクなしNNA POWER ASIA 2020年12月8日付
ミャンマーの企業が、新型コロナによる「新常態(ニューノーマル)」に適応し始めている。米国の非営利団体(NPO)アジア財団がミャンマー全国の企業を対象に実施した調査によれば、コロナ禍で売り上げがゼロになった企業は、4~5月は22%だったが、9~10月は31%に上った。一方で、事業活動の継続に影響がないとする企業は12%から30%に上昇。従業員や顧客の体温測定に加えて、リモートワークの浸透により、新型コロナ下での事業耐性が身についてきた。
韓国
流通業がライブコマースに注力
多様な商品群、中小の活路にもNNA POWER ASIA 2020年12月4日
韓国の流通業界が、リアルタイムのライブ放送を通じて商品を販売する「ライブコマース」に力を入れている。新型コロナの影響で販売チャンネルの軸がリアル店舗からオンラインに移行する中、臨場感あるショッピングを楽しめることが消費者の心をつかんだ。取り扱う商品もファッションや生活用品だけでなく、自動車や不動産にも及ぶ。韓国政府はコロナ禍で苦しむ小規模事業者の販売手法として活用している。
マレーシア
国内観光再開に高まる期待
観光省、インバウンドも準備NNA POWER ASIA 2020年12月10日付
マレーシアで年末年始の書き入れ時を前に国内観光が解禁されたことを受け、旅行業界で業績回復への期待が高まっている。ホテルや航空会社などは特別割引プランを用意し、新型コロナの影響で落ち込んだ売り上げの回復を図る。一方、観光・芸術・文化省は、インバウンド(外国人旅行者)受け入れ再開に向け、業界団体などと仕組み作りを進めている。
インドネシア
双日、バリの観光業振興支援
1月にIoT活用した実証ツアーNNA POWER ASIA 2020年12月14日付
双日グループは12月10日、インドネシアのインバウンド活性化を支援するためIoT(モノのインターネット)を活用したデジタルサービスの実証実験を開始すると明らかにした。インドネシア国内の旅行代理店6社と提携し、宿泊など各種サービスとスマートフォンのアプリを連携させたバリ島へのツアーを実施する。事業化した後は、日本をはじめ他国・地域でも同システムを展開していく計画だ。