NNAカンパサール

アジア経済を視る December, 2020, No.71

米新政権とアジア
どうなる政治と経済

歴史的な大激戦となった米大統領選で、民主党のバイデン前副大統領が共和党のトランプ現大統領を制し、当選を確実とした。2021年1月20日、第46代大統領に就任する見通し。政権交代を見据えて、アジア各国も新たな対米政策の準備に入っている。NNA POWER ASIAから関連記事をセレクト。

11月8日付の香港の新聞。各紙とも一面トップでバイデン氏の当確を伝えた(NNA撮影)

11月8日付の香港の新聞。各紙とも一面トップでバイデン氏の当確を伝えた(NNA撮影)

アジア

バイデン氏勝利に相次ぎ祝意
自国第一や対中関係の変化に注視NNA POWER ASIA 2020年11月9日付

米大統領選挙で11月7日(現地時間)、民主党のバイデン氏の当選が確実となったことを受け、アジア各国・地域の首脳は8日、相次ぎ祝福のコメントを発表した。ただし、トランプ政権と激しく対立した中国は同日時点で反応を示していない。共和党の現職トランプ大統領は敗北を認めていないが、各国・地域はおおむね政権移行をにらみ、これまでの「自国第一主義」や対中関係などがどの程度変わるかに注目しているようだ。


台湾

米台経済対話、近く始動か
BTAに期待、「脱中国」加速もNNA POWER ASIA 2020年11月9日付

米大統領選で民主党のバイデン氏が現地時間11月7日、勝利宣言を行う中、台湾では「米国との経済対話が前倒しで始まる」との見方が出ている。2国・地域間貿易協定(BTA)の締結に向けた交渉が進むとの声もあり、台湾経済部(経済産業省)の陳正祺政務次長(次官)は、経済対話が貿易協定を含む幅広い範囲で台湾にプラスの影響を及ぼすとの見方を示した。一方、専門家は、米台関係の強化によって、台湾企業が「脱中国」を迫られると予想する。


香港

政府、米対外政策の変化注視
摩擦緩和期待も中国と協力強化NNA POWER ASIA 2020年11月9日付

香港各紙は11月8日、米大統領選で民主党のバイデン氏が勝利を確実にしたことを伝えた。香港政府は8日夕方時点で公式な反応を見せておらず、バイデン氏が対外関係でどのような姿勢を示すのかを見極める方針とみられる。厳しい対中・香港政策が続く可能性も少なくないだけに、中国本土との協力関係をより強化し、低迷する経済の立て直しを進める考えだ。


韓国

バイデノミクスに期待感
通商政策・景気刺激策が好材料にNNA POWER ASIA 2020年11月12日付

米大統領選で民主党のバイデン氏が当選を確実にしたことで、韓国でバイデン氏の経済政策「バイデノミクス」に対する期待が高まっている。とりわけ、多国間貿易体制への復帰や景気刺激策、環境重視の政策は韓国企業に有利に働きそうだ。一方、米ドル安や環境規制の強化、米中摩擦などは悪材料として懸念されている。


ベトナム

対米輸出、新政権下で拡大も
通貨ドン高の受け入れは不可避かNNA POWER ASIA 2020年11月12日付

民主党のバイデン氏が大統領選で勝利を確実にしたことで、米国の対中国や対ベトナム政策に変化が生じる可能性が高まった。米国内での景気刺激策の規模によっては、ベトナムの輸出が拡大することがあり得る。一方、為替操作の認定に関する大きな変化は期待できず、少なくとも通貨ドン高の受け入れは避けられない情勢となりそうだ。


フィリピン

世界景気の回復に期待
経済界、バイデン氏当確受けNNA POWER ASIA 2020年11月10日付

米大統領選でバイデン氏の当選が確実になったことを受け、フィリピンの経済界は世界景気回復への追い風になると期待する声が強い。対中貿易政策の安定で世界貿易の持ち直しが見込まれるほか、米国経済が持ち直せばフィリピンの受託産業も活発になることが予想される。ただ米国はフィリピンをさほど重視していないとして、政権が交代しても2国間の経済関係に大きな変化は見込めないと慎重な意見もある。


タイ

経済界のTPP待望論が再燃
米政権交代で、RCEPは署名へNNA POWER ASIA 2020年11月13日付

米大統領選で民主党のバイデン氏が当選を確実にしたことを受け、環太平洋連携協定(CPTPP、TPP11)への加盟議論を求める声が、タイ経済界から再び出ている。いったん離脱した米国が交渉を再開するとの見方があるためだ。ただ国内では先に起きた加盟反対運動を受けて発足した特別委員会が検討結果をまとめたばかりで、議論は段階的に進められるとみられる。一方タイ政府は、合意間近とされる「地域的な包括的経済連携(RCEP)」には署名する見通しだ。


豪州、ニュージーランド

米新政権で政策変更か
豪は環境、NZは貿易問題見直しNNA POWER ASIA 2020年11月10日付

米国の大統領選挙で、民主党候補のバイデン氏が当選確実となり政権移行へ動き出した中、オーストラリアとニュージーランド(NZ)の両政府の政策にバイデン新政権の影響が波及しそうだ。オーストラリア連邦政府は二酸化炭素(CO2)の長期的な削減目標の設定を避けているが、バイデン政権が気候変動対策に注力することにより、国際的な圧力は高まるとみられる。一方NZ政府は、貿易問題の解消に向け米国との関係強化に乗り出すとしている。

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