コロナ禍の回復策を見いだせ
供給網の再編急ぐ日系各社
夏を過ぎても、新型コロナウイルスの流行は依然続いている。そんな中、ウィズ・コロナ時代に生き残るべく、日系各社がアジア全体のサプライチェーン(供給網)の再構築や事業再編に向けて動き始めた。NNA POWER ASIAから関連記事をセレクト。
補助金制度の活用で日系各社がASEAN生産を増強している。写真はマツオカコーポレーションの既存工場=ベトナム・バクザン省
ベトナム
供給網再編で東南ア増強へ
補助金制度、「脱中国」は限定的NNA POWER ASIA 2020年8月6日付
コロナ禍を契機に、日本政府が東南アジア諸国連合(ASEAN)への生産投資を支援する補助金制度が始動した。本年度の補正予算で235億円を充てる予定で、第1回公募では採択された30社中15社がベトナムに資金を投じる。「脱中国」推進の事例と指摘する声もあるが、関係者に聞くと、実態は2000年代初頭からの「チャイナプラスワン」の延長だ。新たな危機を引き金とする供給網の再編は、ASEAN強化という潮流を強めている。
インドネシア
日産、地場と提携強化で攻勢
インドモービルに販社の経営権NNA POWER ASIA 2020年8月10日付
日産自動車の現地法人、インドネシア日産自動車(NMI)は8月6日、インドネシアでのブランド力向上に向けて、同国の自動車大手インドモービル・グループと戦略的提携を強化する覚書を交わしたと発表した。インドモービルが日産車の販売会社の経営権を取得する。同国での日産の市場シェアは5%以下にとどまっており、インドモービルの販売ネットワークなどを活用することで、日産車と新興国向けブランド「ダットサン」の販売拡大を図る考えだ。
中国
日立、中国の昇降機事業を深化
保全サービス注力、工場を一層活用NNA POWER ASIA 2020年8月14日付
日立製作所が中国のビルシステム事業を深化させる。新型コロナウイルスの影響で日本市場の落ち込みが予想される中、中国で昇降機の保全サービスやリニューアル需要の取り込みを強化するほか、中国工場の一層の活用で、同国以外のアジア市場の開拓にも本腰を入れる。在宅勤務が進み、オフィスビルの必要性が見直される状況下、非接触技術やモノのインターネット(IoT)を駆使し、新たな付加価値も提案していく。
ベトナム
イオン、スーパー部門は伸び
課題やニーズを捉え、消費喚起へNNA POWER ASIA 2020年8月13日付
ベトナムで総合スーパー(GMS)事業を担うイオンベトナムは、在宅需要で主軸の食品スーパー部門が伸長する一方、アパレルや家電を含む全体ではマイナスが見込まれる。店頭に買い物客が押し寄せる波はあったが、商品供給の混乱は限定的だった。コロナ禍で見えてきた課題も多く、消費者マインドの変化を捉えた販売の巻き返しを図る。
ベトナム
エースコック、トレンドの変化注視
消費の新形態に着目、生活密着へNNA POWER ASIA 2020年8月14日付
即席麺の消費量が年間54億3,000万食と世界5位のベトナム市場で約半分のシェアを持ち、国内トップを走るエースコック・ベトナムは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて変化した消費者の動向やトレンドを注視する。消費者は外食を控えるようになったとされ、競合他社は小売店へのアプローチを活発化させた。新商品やキャンペーンを通じ、即席麺をより生活に密着させることを目指す。
ミャンマー
キリン合弁、上期は減収減益
コロナ禍で下期も挽回難しくNNA POWER ASIA 2020年8月13日付
キリンホールディングス(HD)のミャンマーでの業績が、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んでいる。ミャンマー合弁会社ミャンマー・ブルワリー(MBL)の2020年度上半期(1~6月)の売上高は前年同期比8%減の163億円、原価と販売管理費を差し引いた営業利益は同12%減の71億円だった。下半期(7~12月)での挽回は難しいとみており、通期ではキリンHD傘下に入ってから初の減収減益となる見込みだ。