新型コロナ、自動車産業に大打撃
アジア各国の新車販売に急ブレーキ
新型コロナウイルス感染症の拡大が、アジア各地の新車市場を急激に冷え込ませている。感染の中心地だった湖北省武漢市など中国拠点から部品が調達できずに完成車が生産できなくなっているほか、市民の外出規制などで新車の購入意欲も失わせていることが背景にあるとみられる。自動車産業はすそ野が広く、アジア経済の屋台骨であるだけに、今年の経済成長も強い押し下げ圧力にさらされそうだ。NNA POWER ASIAから関連記事をセレクト。
中国では段階的に自動車生産も再開しつつあるものの、本格稼働には一定の時間がかかりそうだ=3月11日、江蘇省南京市(新華社)
中国
2月の新車販売79%減 需給ともに低迷、影響は上期中続くNNA POWER ASIA 2020年3月13日付
中国自動車工業協会は3月12日、中国の新車販売台数が2月は前年同月比79.1%減の31万台だったと発表した。協会は新型コロナウイルス感染症の影響で生産、消費の需給両面が低迷したと説明。新型コロナは上半期(1~6月)の新車市場に「重大な影響」を及ぼすと懸念している。2月の新車販売は、1月の194万1,000台から83.9%減と急ブレーキがかかった。販売の内訳は、乗用車が81.7%減の22万4,000台、商用車は67.1%減の8万6,000台だった。
台湾
新型肺炎が新車販売に打撃 2月は前月比3割減、生産停止もNNA POWER ASIA 2020年3月4日付
自動車市場関連の業界サイト「台湾U―CAR」によると、台湾の2020年2月の新車販売台数(ナンバープレート交付ベース)は前年同月比39.3%増の2万7,350台だった。春節(旧正月、昨年は2月)連休期間のずれがプラス成長につながった。ただ前月比は30.6%減と下げ幅が目立ち、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)が販売に響いた形だ。3月には部品不足が域内での自動車生産の停止を招く恐れもあるという。
韓国
車部品メーカーの稼働率、新型肺炎で半減NNA POWER ASIA 2020年3月11日付
自動車産業連合会によると、韓国の自動車部品メーカーの工場稼働率は平均で50~70%水準にとどまっていることが分かった。新型肺炎の感染が広がる大邱市など南東部にある企業の生産停止に加え、中国からの部品調達難で工場稼働を中断した完成車メーカーが、部品会社への発注を延期したことなどが影響した。
インド
トヨタやホンダなど、四輪各社が工場停止NNA POWER ASIA 2020年3月24日付
トヨタ自動車のインド法人トヨタ・キルロスカ・モーター(TKM)とホンダのインド四輪車法人ホンダ・カーズ・インディア(HCIL)は22日、インド当局による新型コロナウイルスの流行防止措置を受け、インド国内の工場の稼働を停止すると発表した。TKMは稼働停止期間を「新たな発表をするまで」、HCILは31日までとしている。地場マヒンドラ&マヒンドラ(M&M)や商用車メーカーも稼働停止を発表した。
フィリピン
自動車販売、20年は微増に 37万台規模、新型コロナが下押しNNA POWER ASIA 2020年3月25日付
フィリピンの自動車市場が新型コロナウイルスの影響で伸び悩みそうだ。市場調査会社フィッチ・ソリューションズは23日、同国の2020年の自動車販売台数が前年比0.4%増の37万1,456台にとどまると予測し、従来の7.4%増から見通しを大幅に下方修正した。感染拡大を防ぐ措置として外出制限が実施され、自動車メーカー各社が生産停止や販売店の一時休業に動いているほか、消費意欲の減退が懸念されていることが背景にある。
タイ
新型肺炎で新車販売11%減=カシコン銀予測NNA POWER ASIA 2020年2月17日付
カシコン銀行傘下の民間総合研究所カシコン・リサーチ・センターは14日、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の拡大の影響で、タイの2020年の新車市場が最大で前年比11%減の90万台まで落ち込むとの予測を示した。当初は5%減の96万台と見込んでいたが、新型肺炎の世界経済への影響により、国内景気も悪化するとみて下方修正した。