NNAカンパサール

アジア経済を視る January, 2020, No.60

スマートシティーがアジアを変える
日本企業が続々参画

アジアで環境配慮型都市(スマートシティー)の整備が進み、都市部の交通渋滞や人口増による各種問題を解決する手段として注目されている。省エネ技術や最先端の情報通信技術(ICT)で先行する日本企業が参画するケースも増えている。アジア各国・地域で本格化するスマートシティーづくりの最新記事をNNA POWER ASIAからセレクト。

調印式に参加したミャンマーと日本の両政府、日本企業の関係者ら=11月20日、ネピドー(双日提供)

調印式に参加したミャンマーと日本の両政府、日本企業の関係者ら=11月20日、ネピドー(双日提供)

ミャンマー

双日など日本連合、70億で通信網受注NNA POWER ASIA 2019年11月22日付

双日、NTTコミュニケーションズとNECグループによる連合が11月20日、ミャンマーの主要3都市とティラワ経済特区(SEZ)を結ぶ基幹通信網の改善事業を受注したと発表した。受注額は約70億円。2021年に予定する完成後は、同区間の通信容量が現在の3倍以上になり、近く見込まれる第5世代(5G)移動通信システムの普及も支えることになる。入札で、中国の華為技術(ファーウェイ)・韓国のKT連合に競り勝った。

20日に首都ネピドーでミャンマー政府側と契約に調印した。円借款を活用し、年内にも工事に着手する。


ミャンマー、インドネシア

住商系SCSK、工業団地のスマート化も視野NNA POWER ASIA 2019年11月15日付

SCSKミャンマーの設立式典でテープカットする関係者=11月13日、ヤンゴン(NNA撮影)

SCSKミャンマーの設立式典でテープカットする関係者=11月13日、ヤンゴン(NNA撮影)

住友商事グループのシステムインテグレーター、SCSK(東京都江東区)の谷原徹社長は11月13日、東南アジア市場での展開を加速し、海外事業部門の売上高を5年後に全体の20%以上に引き上げる考えを明らかにした。同社はミャンマーとインドネシアで新たに現地法人を設立。スマートフォン普及率が高いミャンマーでは、モバイル決済などで商機を見込むほか、工業団地のスマート化も視野に入れる。

ミャンマーのスマホ普及率は9割に達する一方、データを活用した法人向けのITサービスは創生期だ。谷原社長は、「モバイル通信を核に、異業種の企業同士を結び付けるデジタルトランスフォーメーション(DX)のモデルが実現できる」と展望した。


フィリピン

クラーク新都市で設計業務 日本工営、スマートシティー開発NNA POWER ASIA 2019年9月30日付

クラーク国際空港の周辺地域は将来、産業地区に変貌する見通し=8月上旬、パンパンガ州(NNA撮影)

クラーク国際空港の周辺地域は将来、産業地区に変貌する見通し=8月上旬、パンパンガ州(NNA撮影)

日本工営は9月27日、フィリピンのマニラ首都圏北部で開発が進む新産業都市「ニュー・クラーク・シティー(NCC)」で、環境配慮型都市(スマートシティー)に関連するインフラ設計業務などを受注したと発表した。契約額は8億円で、海外で同様の案件を受注するのは2件目。道路や電力、上下水道などを設計する。交通渋滞や人口増で問題が山積している首都圏に次ぐ「第2の首都」として、開発に弾みが付きそうだ。






インド

NEC、西部スマート都市向けシステム受注NNA POWER ASIA 2019年10月16日付

NECのインド現地法人であるNECテクノロジーズ・インディアは10月15日、西部マハラシュトラ州のカルヤン・ドンビビリ公社(KDMC)からスマートシティー(環境配慮型都市)整備に向けた交通監視システムや情報集約システムの構築事業を受注したと発表した。受注額は非公開。

システム構築は2020年末までに完了する見通し。その後5年間、運用と保守も担う。交通監視システムは、市内の主要な交差点にカメラを設置し監視する。


シンガポール

日立アジアと不動産大手 スマートシティーなど先端技術で提携NNA POWER ASIA 2019年10月17日付

日立製作所のアジアの地域統括会社であるシンガポールの日立アジア社は10月16日、シンガポールの不動産開発大手フレイザーズ・プロパティーと、アジア太平洋地域での不動産産業のデジタルトランスフォーメーション(デジタル技術の浸透によるビジネスの変革=DX)を共同で推進することで覚書を締結したと発表した。向こう5年間でそれぞれが最大5,000万Sドル(約40億)を投じる。

日立製作所の担当者は「当社が持っているスマートシティーの分野で活用できる技術と、フレイザーズ・プロパティーの同分野における知見を掛け合わせることで、より良いものを作りたい。今後、都市開発が進むアジア太平洋地域での事業に注力していく予定だ」と述べた。


韓国

韓国初のスマートシティー、釜山で着工NNA POWER ASIA 2019年11月25日付

釜山エコデルタスマートシティーの完成予想図(韓国国土交通省提供)

釜山エコデルタスマートシティーの完成予想図(韓国国土交通省提供)

韓国政府は11月24日、スマートシティー「釜山エコデルタスマートシティー」を釜山市江西区で着工した。ゼロから構築するスマートシティーは国内初。着工式には、文在寅(ムン・ジェイン)大統領のほか、25日に開催する韓・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議のために同市を訪れていたASEAN諸国の首脳ら関係者が出席。韓国の取り組みに高い関心を示した。2022年ごろから住民が入居できる予定だ。





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