すごいアジア人材 @日本企業
少子高齢化を背景にあらゆる分野で人材不足が顕著となっている日本社会。今後も成長できるか、衰退するかの大きな岐路に立たされている。優秀なアジア人を企業内に取り入れることができるかどうか、彼ら・彼女らに日本を選んでもらえるかどうかでその運命は変わってくるからだ。市民として受け入れることができれば、日本社会は変わり、グローバル対応できる企業に生まれ変われる。そんな変革に取り組み始めた企業や人々を特集する。
少子高齢化を背景にあらゆる分野で人材不足が顕著となっている日本社会。今後も成長できるか、衰退するかの大きな岐路に立たされている。優秀なアジア人を企業内に取り入れることができるかどうか、彼ら・彼女らに日本を選んでもらえるかどうかでその運命は変わってくるからだ。市民として受け入れることができれば、日本社会は変わり、グローバル対応できる企業に生まれ変われる。そんな変革に取り組み始めた企業や人々を特集する。
日本で働く外国人が右肩上がりで増えている。2016年に100万人を突破。18年10月末時点で146万人に達し過去10年間で約3倍に増加した。19年4月には新たな在留資格制度である「特定技能」がスタートし、外国人労働者の増加はさらに加速するとみられている。18年10月末時点の国籍別の内訳は中国(香港など含む)が26.6%と最多。急速に増えているベトナム出身者が21.7%とほぼ拮抗(きっこう)しつつある。この他フィリピン、ネパール、韓国、インドネシアの上位国を合わせるとアジア出身者が全体の7割を超えている。
周怡来(シュウ・イーライ)さんが所属するグローバルスポーツ局アジア部は、中東を含むアジアにおけるスポーツマーケティングが主な事業領域だ。アジアで開催されるスポーツ大会では、大会直前でのトラブルも頻発するが、「難しい対応が求められる半面、それが仕事上の醍醐味でもある」と話す。
2012年に大手ゼネコンの清水建設に入社したニー・ムイゲッチさん。16年まで日本国内の教育文化施設や生産施設の構造設計を手掛け、17年からは国際支店で主に日本企業の海外工場の構造設計を担当している。構造設計では、建物の機能性、デザイン性、経済性を考慮しながら合理的に構造計画を行い、地震や台風などの外力に対して、安全な建物の骨組みを設計するための構造計算を行う。
高度な専門知識と複数の言語を操るコミュニケーション力を持ち、国際感覚に優れた外国人留学生は、少子化が深刻な日本にとって救世主となり得る存在だ。だが、現状はこうした人材を積極的に活用しているのは一部の大企業などに限られ、十分に生かし切れているとはいえない。外国人にとって異質な日本の就職慣行や日本企業の外国人留学生に対する先入観などが採用の障害になっている。
「自社で優秀な外国人材にいかに活躍してもらったらいいのか」──。日本で少子高齢化による労働者不足が深刻化しつつある中、国内外の大学を卒業した「高度外国人材」の採用が当たり前になる時代はもうそこまで来ている。日本人とは異なる彼らの発想力をイノベーションにつなげていくこともできるだろう。東京経済大学グローバル組織・キャリア開発研究所所長の小山健太准教授は、「人材育成型の日本企業だからこそ、外国人材それぞれの個性を生かした役割設定が可能となる」と主張する。
リクルートや大手カジュアルウエアチェーンの中国事業に参画した経験を持ち、現在は上海と東京を拠点に大手企業などの人事コンサルタント、アドバイザーとして活躍している田中信彦氏。近著『スッキリ中国論 スジの日本、量の中国』(日経BP社)では、中国人の行動原理を解き明かしてくれたが、中国人など外国人従業員から見た日本企業の問題点はずばり、発信力の弱さだと指摘する。
製造拠点の主力は海外に移っても、日本で約8,000万台が保有される自動車の修理・点検は海外には出すことはできない。日本では整備士の志望する若者の減少に加えて、高齢整備士の引退・退職が始まっており、向こう5年間で1万3,000人の整備士不足が見込まれている。ディーラーや整備会社の外国人材登用は待ったなしだ。
日本で2019年4月から新たな在留資格「特定技能」が施行されたものの、19年11月時点での取得者は、同年度中に最大4万7,000人としていた政府見込みの2%弱にとどまっている。そうした中、独自に外国人材を確保しようと動きだしている企業がある。ファストフードチェーン「モスバーガー」を展開するモスフードサービス(東京都品川区)もそうした企業の一つだ。同社は昨年10月からベトナムの中部ダナン市にある国立ダナン観光短期大学と提携し、外食向けの特定技能ビザ取得を支援する教育を開始した。
樹脂成形品・複合ユニットのADMS社
化学品や情報システムの販売などの事業を多角的に展開する三谷産業。昨年はベトナムでビジネスを開始して25年を迎えた。7社あるグループ会社の1社として、プラスチック成形品・複合ユニット製品の製造・販売を手掛けるのがAureole unit‐Devices Manufacturing Service Inc.(以下ADMS社)だ。
ASEAN+インド一覧
日本で働くアジアの人々は増えている。国籍別で、日本ではどのような在留資格で働いているのかを地図上のグラフで示した。ベトナム籍やインドネシア籍は「技能実習」が最多だが、フィリピン籍は「永住者や配偶者など身分に基づく在留資格」が多い。中国籍と韓国籍は、「専門的・技術的分野」の在留資格と「永住者や配偶者など身分に基づく在留資格」がほぼ同じだ。
【アジア取材ノート】
──スウェーデン──
「サーブ」といえば、乗用車や小型プロペラ機で知られたスウェーデンの名門ブランドだが、現在は軍需以外は生産されていない。乗用車部門は2019年1月、中国不動産大手の中国恒大集団の傘下企業として再出発した。そんな旧サーブの自動車工場はどうなっているのだろうか。現地を訪問した。
【プロの眼】辺境写真家 栗田哲男
学生時代、映画監督への道と文化人類学研究者の道を断念した栗田哲男氏。彼が写真家になった動機は、旅と写真が好きだったからだ。しかし中国の日本企業の駐在員だった栗田氏は、なぜ「辺境写真家」になったのか。中国での印象的な出会いが彼を後押しした。連載最終回。
アジアで環境配慮型都市(スマートシティー)の整備が進み、都市部の交通渋滞や人口増による各種問題を解決する手段として注目されている。省エネ技術や最先端の情報通信技術(ICT)で先行する日本企業が参画するケースも増えている。アジア各国・地域で本格化するスマートシティーづくりの最新記事をNNA POWER ASIAからセレクト。
【アジアの本棚】
中国は世界最大の自動車市場だが、国有企業と合弁で生産する外資ブランド車が依然大きなシェアを持ち、民族系メーカーは苦戦している。自動車の中枢であるエンジンやトランスミッションの生産技術でなかなか日米欧のメーカーに追い付けないことが大きな壁になっているためだが、中国はいま新エネルギー車(NEV)開発で「自動車強国」に脱皮しようという大きな戦略を描いている。