NNAカンパサール

アジア経済を視る December, 2019, No.59

水のリスクに備えよ
干ばつ、洪水、地盤沈下

世界的な気候変動の影響によってアジア各国で大規模な干ばつや洪水被害が頻発するようになっている。また、工業化に伴う大量の地下水のくみ上げは都市部の地盤沈下をもたらしており、対策が急がれる。こうした社会課題の解決に向けた官民の取り組みをNNA POWER ASIAからセレクト。

干ばつの影響でひび割れたベトナム南部の農地(2016年)

インド

水不足に日本の技術 投資活発、広がる事業機会NNA POWER ASIA 2019年11月4日付

水不足が深刻化するインドで日本企業が事業機会を広げている。雨水の貯蔵システムや浄化槽の設置、工場での排水の再利用など、展開する事業はさまざまで、日本で培った独自の技術が光る。地場金融大手の試算によると、インドでの官民による上水道への投資額は向こう6年間で約6兆ルピー(約9兆2,000億円)に拡大する見通しだ。


インドネシア

雨水貯留システムを本格展開 積水化学、洪水や地盤沈下を抑制NNA POWER ASIA 2019年11月7日付

積水化学工業がインドネシアで雨水貯留システムの販売を本格化する。このほど、西ジャワ州ブカシ県で初めての案件を着工した。再生プラスチック製のパーツを積み重ねて地下に空間を作ることで、洪水や地盤沈下の抑制や雨水の利用ができる。洪水はインドネシアで最も頻繁に起こる自然災害の一つ。発生件数は年に1,000件を超えることもあり、貯留システムの需要は大きいと見ている。数年以内に現地生産を目指す。


ミャンマー

水インフラなど新領域拡大も ヨマ傘下FMI、アヤラと提携でNNA POWER ASIA 2019年11月20日付

ミャンマーの財閥ヨマ・グループ傘下のファースト・ミャンマー・インベストメント(FMI)は11月19日、最大都市ヤンゴンで記者会見を開き、先ごろ発表したフィリピンの財閥アヤラ・コーポレーションとの資本・業務提携について説明した。FMIのトゥン・トゥン最高執行責任者(COO)は、アヤラの資本参加を得て、金融など従来の中核事業で協力するほか、水道インフラ分野に乗り出す考えを示した。


台湾

再生水処理工場の建設計画、相次ぎ始動NNA POWER ASIA 2019年11月7日付

台湾の中南部を中心に、家庭や工場から出た廃水を回収し、再利用可能な再生水にする処理工場の建設計画が、今年に入り相次ぎ始動している。再生水の活用を希望する事業者が増えていることを踏まえ、内政部(内政省)営建署は、総額172億台湾元(約610億円)を投じて、処理工場8カ所の着工と建設計画を急いでいる。


タイ

工場排水を干ばつ対策に利用、工業相が指示NNA POWER ASIA 2019年11月21日付

タイのスリヤ工業相は、全国の工場から出る排水を干ばつ対策に利用する計画を明らかにした。干ばつの発生した2016年に同様の施策で成果を挙げており、さらに規模を拡大して実施する。


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