新時代の人材採用
アジアから選ばれる日本へ
少子高齢化による労働者不足にあえぐ日本社会。人材不足を補うため、企業がアジアの優秀な若者たちに目をつけた。従来のような「替えのきく労働者」ではなく、育成すべき中心戦力に据え、アジアの若者たちから「選ばれる日本」の再生を目指そうとしている。関連の最新記事をNNA POWER ASIAからセレクト。
インド
進む日本のインド人採用 難関校で説明会、新興企業にも光NNA POWER ASIA 2019年9月16日付
インドの最難関大学として知られるインド工科大学(IIT)のハイデラバード校(IITH)で、学生と日本企業を結び付ける動きが進んでいる。高い技能でイノベーションをもたらす優秀な人材を獲得しようと、スタートアップ3社、大手2社が9月14日、企業説明会に臨んだ。難関校に対しては年収1,000万ルピー(約1,500万円)の提示が必要ともいわれるなか、集まった学生からは「やりたいことができれば数百万ルピーでも十分」との声も聞かれた。給与やネームバリューだけが就職先選びの条件ではないとする学生の考えがうかがえた。
ミャンマー
スーパーホテルが専門学校 特定技能で日本送り出しへNNA POWER ASIA 2019年9月4日付
ビジネスホテルを展開するスーパーホテル(大阪市)が9月3日、ミャンマー最大都市ヤンゴンで、日本のホテルで働く清掃員や客室管理(フロア)係などを養成する専門学校を開校した。新たな在留資格「特定技能」を持つミャンマー人材の送り出しを目指す。日本のホテル事業者が海外で本格的な人材育成に乗り出すのは初めて。訪日観光客の増加に伴う、ホテル業界の人手不足を補う。専門学校は、清掃サービス部門の事業会社、スーパーホテルクリーンが運営。ビルクリーニング、宿泊の2分野で新たな在留資格「特定技能」を持ち、清掃、フロア、フロント係として活躍できる人材を育てる。第1期生は10~30代の39人だ。安藤周二社長は2日に行われた式典で「優秀でまじめな人材に日本で働いてもらい、母国で生かせる技術を身に付けてほしい」と話した。
マレーシア
不足するAI人材を東南アから グリッド、マレーシアから初採用NNA POWER ASIA 2019年8月30日付
日本で不足する人工知能(AI)人材を東南アジアで確保する試みが始まっている。AI開発プラットフォームを手掛けるグリッド(東京都港区)はこのほど、現地の民間企業、応用データ科学センター(CADS)の協力を得て、マレーシア人2人の採用を決めた。グリッドは育成した人材で日本のAI人材不足を補うとともに、各国の人材が培った技術を帰国後に活用して現地の社会問題を解決する「一挙解決エコシステム」の確立を目指す。グリッドの広報担当者によると、同社が開発したAI開発プラットフォーム「ReNom(リノーム)」を使った人材育成で提携するCADSから、今年6月にマレーシア人2人をインターンとして受け入れ、このほど正社員としての採用を打診した。
ベトナム
三谷産業、ハノイで人材カンファレンス開催NNA POWER ASIA 2019年9月13日付
三谷産業(金沢市)は9月11日、ベトナムのハノイで人材育成について議論する「オレオ(Aureole)カンファレンス2019」を開催した。2015年から毎年ホーチミン市とハノイで交互に開催しており、5回目となった今年のテーマは「コア人材の育成」。日越が共通して抱える高度産業人材の育成について、講演や意見交換が実施された。三谷忠照社長は「ベトナム人、日本人双方のマネジメント層、中核人材が手を取り合って経営する時代が到来している」と述べ、その中で「日本企業はベトナムを『単なる労働力』としてではなく『技術者マインドの継承』に力を注いでいる。高度産業人材の育成は、双方にとって最重要課題の一つである」との認識を示した。
韓国
日韓対立で求職者にジレンマ 就職に悪影響、イベント延期もNNA POWER ASIA 2019年9月24日付
日本政府による韓国向け輸出管理の強化に端を発した日韓の関係悪化で、日本での就職を目指す就活生がジレンマに陥っている。韓国ではこのところ、雇用市場が好転しないことから日本への就職を目指す求職者が増えているが、日韓対立の激化で「悪影響を受けた」と感じる人が増えている。韓国政府は国民の反日感情を考慮し、日系企業が行う海外就活イベントの延期を決めた。