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アジアを走れ、次世代モビリティー
日系メーカーの浮沈を握るアジア
成長市場で優位性保てるか
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4月に開かれた「マレーシア・オートショー2019」を視察する同国のマハティール首相(手前、NNA撮影)
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日系シェアはインドネシア98%、タイ86%
アジアは日本の完成車メーカーにとって重要な位置を占める。1人当たりの国内総生産(GDP)が3,000米ドル(約32万円)を超えると本格的な自家用車普及(モータリゼーション)が到来するとされるが、それぞれ人口1億人前後を抱えるフィリピンやベトナムがこれに相当し、さらに14億人の巨大市場インドが次に控える。一方、すでにモータリゼーションを迎えたインドネシアとタイでは、それぞれ日系メーカーのシェアが98%、86%と圧倒的な存在感を示し、マレーシアでも42%に達している。
専門家は、東南アジアやインドにおける日系メーカーの強みとして、「サプライチェーン網」「製造拠点網」「ディーラー網」の3つの網を指摘する。サプライチェーン網はティア1(1次下請け)にとどまらず、ティア2、ティア3に至るまでの重層的なサプライチェーンを構築。製造拠点網については、高い市場シェアを背景に域内各国に幅広い製造拠点網を確立した。ディーラー網についても長い年月をかけて各地域に浸透し、地方の有力者も含めたネットワークを持つ。構築コストの高い3つの網を築き上げたことで、他の外資系競合や新規参入者に対して強みを発揮している。
電気自動車(EV)や自動運転、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)といった次世代技術が進展する中、日本勢が引き続きアジアで存在感を維持できるかが今後の浮沈の鍵を握る。
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フィリピンのジプニー(左)やインドのオートリキシャ(右)にも電動化の波が訪れている(NNA撮影)