NNAカンパサール

アジア経済を視る June, 2019, No.53

深まる米中対立、アジア経済に再び暗雲

米国と中国の経済対立の悪化でアジア経済に再び暗雲が立ち込めている。米国が5月10日に中国からの輸入品2,000億米ドル(約22兆円)分に対する追加関税率を引き上げたことを受け、中国も13日に米国からの輸入品約600億米ドル相当に対する追加税率引き上げを発表。さらに米国は同日、中国からの輸入品約3,800品目への追加関税を決定した。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に対する米国の事実上の禁輸措置も影を落とす。エスカレートする一方の米中対立に、アジア経済への悪影響を懸念する声が高まっている。関連の最新記事をNNA POWER ASIAからセレクト。

新華社

新華社

中国

米系企業、関税の応酬に悲鳴 75%が悪影響を予測、商議所調査NNA POWER ASIA 2019年5月23日付

中国で事業展開している米系企業の多くが、再び激化した米中貿易戦争に危機感を強めている。中国に進出する米系企業でつくる米国商工会議所が22日発表した会員企業に対するアンケート調査結果によると、回答企業の74.9%が、両国による追加関税の拡大や関税率引き上げの応酬でビジネスに悪影響が出ると予測。生産拠点の中国国外移転を検討中との回答も40.7%に達した。


台湾

中華電信、華為販売見合わせ 他社も様子見、シェア拡大に暗雲NNA POWER ASIA 2019年5月24日付

通信台湾最大手の中華電信は22日、トランプ米大統領の中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置発表などに伴い米グーグルがファーウェイへの主なソフトウエアの提供を停止したことを受け、今後発表されるファーウェイのスマートフォン新機種の販売を見合わせる方針を明らかにした。また、他の通信キャリアも将来の販売停止に含みを持たせている。ファーウェイの台湾でのスマホ販売台数は通信キャリアの店舗での売り上げが7割を占めるとされ、台湾での直近のシェアは販売台数で4位につけるなど好調だったが、今後はシェア拡大が厳しくなるのはもちろん、台湾での販路の見直しも迫られそうだ。


韓国

華為制裁でサムスンに恩恵 調達企業には悪影響もNNA POWER ASIA 2019年5月23日付

米国による中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する制裁で、韓国企業にも影響が出そうだ。サムスン電子はスマートフォンや第5世代(5G)移動通信システムの通信機器で恩恵が期待できる。一方、金融機関のNH農協はファーウェイに発注した金融システムの整備事業を断念。5G用の通信機器を調達するLGユープラス(LGU+)も今後の保守事業で対応を迫られている。


インドネシア

米中貿易戦争悪化に強い懸念 中国製品流入、貿易救済措置要請NNA POWER ASIA 2019年5月17日付

トランプ米政権が13日、中国への制裁措置として中国からの輸入品3,000億米ドル(約32兆9,000億円)分に最大25%の追加関税を課すと発表したことを受け、行き場を失った安価な中国製品がインドネシアなど新興国にさらに流入する恐れが出ている。特にインドネシアでは、鉄鋼や電機、繊維、下流プラスチックなどが大きな影響を受けそうだ。インドネシア鉄鋼工業協会(IISIA)が複数の鉄鋼製品についてセーフガード(緊急輸入制限)や反ダンピング(不当廉売)関税の発動を提案するなど、各業界団体は政府に早急な対応を求めている。


タイ

リコーが中国から生産移管 米向け複合機、摩擦の影響を緩和NNA POWER ASIA 2019年5月17日付

事務機器大手のリコーは16日、コピーやプリンターなどの機能を持つ「複合機」の米国向け生産について、中国からタイへ生産ラインを移管すると発表した。7月中にも完了させて、生産を始める。米政府が13日に発表した中国への追加関税「第4弾」に複合機が含まれていることから、関税引き上げの影響を抑える目的だ。今後は複合機以外の製品についても、各地での生産体制の見直しを図る。


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