【アジメシ】
ヤンゴンの中間層に人気のカフェ
ミャンマー
ご主人が同じ職場の同僚だったことがきっかけで友達になったというノー・ノー・アウンさん(左)とナン・ニーさん。大学の学位を持つ2人はヤンゴンで増えている中間層に属する
アジアで昼食をはさみながら、地元の人々の生活ぶりを垣間見る「アジメシ」の第3回。ミャンマーの最大都市ヤンゴンでは近年、新しいレストランやカフェが続々とオープンし、料理の味はもちろん、店の雰囲気やサービスの質を競い合っています。地元生まれの2人の女性が、中心街にある人気のカフェで将来の夢や日本の印象などを語ってくれました。(取材・写真=共同通信ヤンゴン支局 Yadanar Pamelo)
以前は職場に弁当持参で来る人が多かったヤンゴンだが、中間層の増加とともに外食する人も増えている。地元出身のナン・ニーさん(31)とノー・ノー・アウンさん(30)が紹介してくれたのは、2人がよく利用するという「Kafe In Town(カフェ・イン・タウン)」だ。
Kafe In Townは、野菜を多く使ったヘルシーなミャンマー料理をはじめ、中華料理や洋食などバリエーション豊かなメニューを楽しむことができる。街の中心部にありながら、広々としてゆったりとくつろげる雰囲気も人気の理由だ。1階はカフェとしてコーヒーやソフトドリンクを提供し、アルコール類を楽しみたい人は2階での食事がおすすめ。
2人にヤンゴンでの生活について聞くと、「停電が多いことや公共の場所での人々のマナーが悪いことなど課題はいっぱいあるけど、最大の問題は慢性的な交通渋滞ね」(ナン・ニーさん)。休日はもっぱら自宅で映画を見たり、オンラインで食事のデリバリーを利用して外出を避けることが多いというノー・ノー・アウンさんも、市内の交通渋滞を一番の不満点に挙げる。それでも、「わずかな距離にイスラム教のモスク、仏教のパゴダ、キリスト教の教会が立ち並び、さまざまな宗教が溶け合う魅力的な都市」(ナン・ニーさん)、「ヤンゴンは商業としてミャンマー経済に欠かせない都市。ときどきは逃げ出したくなるけど、やっぱりこの街が好きだわ」(ノー・ノー・アウンさん)とヤンゴン愛を語った。
フリーランスとして企業のパブリック・リレーション(広報)の仕事を請け負っているというナン・ニーさん。将来の夢は、フリーランサー向けにワークスペースを提供する企業を設立すること。オフィスで決められた時間通りに働くのが苦手という彼女。同じ感覚を持ったフリーランサーたちがくつろいだ雰囲気で仕事ができるワークスペースを提供したいのだという。
自由な働き方を追求しているナン・ニーさんだが、安定した収入も捨てがたいと話す。今一番欲しいものを尋ねると、「仕事を安定的に請け負うことのできる大口のクライアント」と即答した。
一方、通信会社のPR誌のライターとして働くノー・ノー・アウンさんの夢は、自分でカフェを開業すること。家族や友達とカフェを利用することが多いという彼女。「客が自分の家のようにリラックスできるカフェを開きたいわ」
日本や日本人のイメージを尋ねると「繊細な感覚を持ち、細かい所への心配りができる人たち」(ナン・ニーさん)。インターネットで見た日本のレストランでは、客が荷物を床に置かずに済むよう、荷物を掛けられるよう工夫したイスがとても印象的だったという。ただし、「東京の人たちの仕事や生活ぶりを聞くととてもせわしない感じで、私には到底耐えられそうもないわね」と笑う。
一方、旅行が趣味というノー・ノー・アウンさん。これまで韓国やタイ、ベトナム、インドなどを訪れたが日本はまだだという。「いつか日本で満開の桜を見てみたい」と目を輝かせた。