NNAカンパサール

アジア経済を視る January, 2019, No.48

アジアで存在感 日本の小売流通業

消費市場が拡大する東南アジア諸国連合(ASEAN)で、日本の小売流通業界の進出が加速している。一連の動きを伝えた最新記事を、ニュース配信サービス「NNA POWER ASIA」の中からピックアップ

東南アジア最大となるユニクロのグローバル旗艦店がマニラ首都圏にオープンした=10月9日、首都圏マカティ市(NNA撮影)


ユニクロ、東南アジア最大の旗艦店を開業NNA POWER ASIA 2018年10月10日付

フィリピン

ファーストリテイリングは10月5日、カジュアル衣料販売店「ユニクロ」のグローバル旗艦店を、マニラ首都圏マカティ市で開業した。店舗の延べ床面積は東南アジアで最大。グローバル旗艦店としては15カ所目で、東南アジアではシンガポールに次ぐ2店目となる。

店舗は商業施設「グロリエッタ5」内に開設した。延べ床面積は4,100平方メートルで、シンガポール・オーチャードロードのグローバル旗艦店の2,700平方メートルを上回る。

フィリピンでは、大手コングロマリット(複合企業)SMインベストメンツ(SMIC)傘下のSMリテールと提携し、2012年にユニクロを初出店した。現在の店舗数は旗艦店を含む53店舗となっている。

ユニクロは、全世界で1,255店舗(18年8月末時点)を展開している。18年3~5月の海外での売上高は、前年同期比23.7%増の2,086億円だった。同社は、22年までに東南アジア・オセアニア市場で毎年30%の増収を維持し、売上高を3,000億円規模にする目標を掲げている。


イオン、スーパー戦略出直し
シティ再建にまず注力=現法社長NNA POWER ASIA 2018年11月12日付

ベトナム

イオンが提携するシティマート。19年度にも事業再建にめどをつける=ホーチミン市

イオンはベトナムでのスーパーマーケット事業のまき直しを図る。首都ハノイを中心にスーパーを展開する地場ファースト・ベトナム(フィビマート)との業務・資本提携を8月末に解消したことを受け、北部での店舗網拡大に向けた戦略を再検討する。また残る提携先である南部を地盤とするドンフン社の「シティマート(Citimart)」については2019年度にも事業再建にめどをつけ、以降に攻勢に乗り出す。イオンベトナムの西峠泰男社長が、NNAに明らかにした。

イオンは15年1月にフィビおよびシティの株式をそれぞれ30%と49%を取得したと発表した。当時の目標はフィビは20店舗から5年後に40店舗に、シティは27店舗から25年に500店舗に拡大すると設定したが、どちらも店舗数は伸び悩んだ。フィビはイオンとの提携を解消直後、地場ベトナム投資グループ(ビングループ)のビンマートへの売却が決まった。

西峠社長は、フィビとの提携解消について詳細を語らなかったが「お互いの考え方が違った」と合弁事業の難しさをにじませた。また2社の苦戦の理由を「一つは競争が激しくなっている。コンビニエンスストアやミニスーパーの立地が他社と競合し、影響を受けている」と説明した。都市部では15年開業の「バック・ホア・サイン」(約400店)、14年開業の「ビンマート」「ビンマート・プラス」(約1,500店)が資金力を武器に急拡大している。西峠社長は「あの展開力は脅威」と危機感を隠さない。


サイアム高島屋が開業
「おもてなし」で富裕層取り込みNNA POWER ASIA 2018年11月12日付

タイ

11月10日にオープンした「サイアム高島屋」。年間の来店者数はタイ人を中心に約3,000万人を見込む=バンコク(NNA撮影)

百貨店大手の高島屋は11月10日、タイの首都バンコクに「サイアム高島屋」をオープンした。東南アジアでは3店舗目。3割を日系ブランドが占める商品展開や、日本式の設備、「おもてなし」のサービスで、経済成長が続くタイの富裕層の取り込みを狙う。開業後1年間の売上高で130億円、2年目で黒字化を目指す。

「タイの皆様に新しいライフスタイルを提案して、日本で培ってきたおもてなしを提供する」─。高島屋の木本茂社長はオープン前日の記者会見でこう意気込んだ。2014年10月に地場の商業施設開発、アイコンサイアムとの合弁契約を締結してから4年。当初予定の17年開業から1年遅れてタイでスタートを切った。

サイアム高島屋は、チャオプラヤー川岸の大型複合施設「アイコンサイアム」のショッピングモール内の計7階を占め、売り場面積は約2万5,000平方メートル。取り扱う約530ブランドのうち、日系は約170ブランド。約80ブランドがタイ初進出となる。


日本食品のネット販売促進
ジェトロ、ECサイトに初出店NNA POWER ASIA 2018年11月21日付

シンガポール

日本貿易振興機構(ジェトロ)が11月20日から、シンガポールで食品・日用品のインターネット販売を手掛けるレッドマートのウェブサイトに「ジャパンハイパーフェスト」を出店している。期間は2019年3月末までで、日本の農産品・食品のオンライン販売を促進する狙い。ジェトロによる同様の取り組みは世界で初めて。同日には中心部のジェトロ・シンガポール事務所でオープニング記念の記者会見を開催した。

記者会見には、石井淳子ジェトロ・シンガポール事務所長やレッドマートのロジャー・イーガン最高経営責任者(CEO)ら関係者が出席した。石井氏はあいさつで「シンガポールでは電子商取引(EC)市場が急成長していることから、(日本の農産品・食品の販促に向け)レッドマートとの連携を決めた。私もレッドマートのヘビーユーザーだ」と発言。その上で「ジャパンハイパーフェストでは通常の菓子類などのほか、健康的な食品に焦点を当てている」と付け加えた。


ルミネジャカルタがオープン
海外2店舗目NNA POWER ASIA 2018年12月10日付

インドネシア

ルミネ(東京都渋谷区)は12月7日、インドネシアの首都ジャカルタの商業施設「プラザ・インドネシア」5階に、1号店「ルミネジャカルタ」をオープンした。海外店舗は、2017年11月にオープンしたシンガポールに続く2店舗目。

ワンストップ・ショッピングをコンセプトにしており、ルミネに出店する衣料・雑貨ブランド20店舗や飲食店などを回遊することができる。ルミネの新井良亮相談役は、インドネシアでの出店の理由について、60年にわたる長い友好の歴史のほか、ファッション市場が急速に成長していること、ファッショントレンドをけん引する若い世代が多いことなどを挙げた。中間層の女性を主なターゲットとしている。

開店式典に出席したエンガルティアスト・ルキタ貿易相は「日本へ旅行する際に、ルミネでの買い物を楽しんでいるインドネシアの若者も多い。このような層にとって、インドネシアでのルミネ出店は非常に魅力的だ」と述べた。

出版物

各種ログイン