ルネサンスのベトナム事業が活況
日本流スポーツクラブを輸出
日本で培ったノウハウを活用し、アジアでスポーツ・ビジネスを展開する動きが加速している。ルネサンス(東京都墨田区)がベトナムの首都ハノイと南部ビンズオン省で手掛けるスポーツクラブでは、日本のクオリティーにこだわった運営が好評だ。子供向けスイミングスクールでは、水泳技術以外に「心配り」や「整理整頓」「用具を大事に扱う」といった行儀やマナーも学べるとの評判を呼んでいる。
「行儀も良くなる」と評判
ベトナムでルネサンスが運営するフィットネスクラブ(同社提供)
1~13歳の子供を対象にしたスイミングスクールの会費は3カ月(週1回)で462万ドン(約2万2,300円)と日本並み。平均所得が日本の7分の1以下のベトナムにあって、決して安いとはいえない。だが、富裕層を中心に、スイミングスクールの会員数も1,000人を超える。フィットネス会員なども含めた1日当たりの来場者数も1,000人を超え、施設の前には毎日オープン前から会員による長い行列ができる。
現地法人ルネサンス・ベトナムの大森健司社長は、「日本で培った経験やノウハウに基づく、日本クオリティーにこだわった運営が実を結んでいる」と話す。同社によると、ローカル企業が運営する施設は、「集客第一」。入会後はたとえ初心者であっても別途契約をしないとマシンの使い方など基本的なことも教えない。会費も交渉で決まるため、会員ごとに利用条件が異なり不平等感が募ることも多い。スイミングスクールでは、正しいフォームを理解せず、いわゆる根性論だけで泳ぎ切らせるという傾向が強く、かえって子供たちの水泳離れを助長させている。
ルネサンスでは、顧客の安全と水泳を楽しむことを最優先に、入水前のシャワーや準備体操といった基本をはじめ、水泳を好きになるためのノウハウを駆使し、子供の成長に合わせた指導を徹底。トレーナーは、日本式の教え方を研修したベトナム人を採用している。合理的な指導の結果、多くの子供が3カ月以内に泳げるようになる。目に見えて上達する子供たちを見て感激した親が口コミで評判を広げている。
肥満や糖尿病が増えているアジア
アジア諸国では、経済成長に伴うライフスタイルの変化などを背景に、生活習慣病である糖尿病の患者が増えており、その割合は軒並み日本を上回る。また、運動不足や脂分の多い食習慣などから、都市部を中心に肥満や過体重が大きな問題となってきている。一方で、アジアの人々の健康増進に対する意識は着実に高まっており、日本の健康・スポーツビジネスにとって、有望市場といえる。