【NNAコラム】各国記者がつづるアジアの“今”
テイクオフ─師走がやってきた─
フィリピン
クリスマスが周りにあふれてきた。ツリーに音楽、イルミネーションがどこにでもある。9月にぽつぽつとお祝いムードになったと思えば、11月初めの連休が明けたら一気に加速。最高潮を迎える年末に向けて、これからどんどんとイベントが増えていくという。
クリスマス当日だと言われても信じそうなイルミネーション群を見て、ふと思った。電力インフラがぜい弱な中で「クリスマス電力危機」が発生するのでは、と。友人に仮説を話すと、「クリスマスは国民全員が本気だから、大丈夫だ」と自信にあふれた返事が返ってきた。
別の知人は、「電力消費がピークとなる酷暑期は3~5月で、クリスマスは問題ない」と指摘する。台風など不測の事態が発生しない限り、懸念はないらしい。「豪華にお祝いしたいがための、強盗は増えるよ」と笑顔でささやかれた。(弘)
中国
大きな竹ぼうきで歩道をざっ、ざっと掃いていく清掃員たち。上海では見慣れた光景だが、この時期は「掃かない」清掃員もいるらしい。
上海市では2013年から、一部のイチョウなどの並木で落ち葉を残しておき、その景観や踏み歩く感触を楽しむという取り組みが行われている。対象となる歩道は年々増え、今年は29の通りで実施。期間はまちまちだが、徐匯区では11月24日から、静安区では12月1日から2週間ほどという。
朝晩はぐっと冷え込むようになった上海。木々の葉が色づくペースも早まり、市内の「落ち葉通り」もこれから見ごろを迎えるのだろう。ただ、わが家の周辺にもイチョウ並木があるが、落ち葉とギンナン、そして吸い殻が混じり合い、お世辞にもきれいとは言えない。「落ち葉通り」は心ない人のポイ捨てやタンを吐く行為に、どのように対処するのか。それを見るためだけにでも、足を運んでみる価値があるかも。(翠)
インド
取引先からカレンダーが届く季節になった。「今年も終わりか」と言いながら、真新しいページをぱらぱらとめくって来年の祝日を確かめるのが毎年の恒例だ。
多宗教国家のインドでは、3月のシバ神生誕日、4月の聖金曜日、5月の釈迦生誕日、6月の断食明け祭と、宗教に関連した祝日が多い。反面、連休が少ないのも特徴で、休みはあっても飛び石の配列がほとんど。ゴールデンウィークや春節といった大型連休を楽しめないところが駐在員泣かせという。
カレンダーの付け替えは古い一年との別れでもある。予定やメモが書き込まれた2018年の暦は日記のようで捨てがたいが、これをしなければ次の一年は始まらない。新旧の2つのカレンダーを見比べながら、行く年への名残と来る年への期待に思いを巡らせるのもまた、この季節の恒例だ。(成)