NNAカンパサール

アジア経済を視る November, 2018, No.46

【NNAコラム】各国記者がつづるアジアの“今”

テイクオフ─身近な生き物編─


フィリピン

マカティ市の犬猫よ、幸せそうじゃないか。特に犬。中央公園「アヤラ・トライアングル」を通るたびに、ペットと飼い主の癒やしの空間に遭遇する。広い芝生の上ではしゃぐ犬。同じ東南アジアでも、ジャカルタとバンコクではまず考えられない光景、と断言したい。

犬の唾液だったか、ほえ声だっただろうか。インドネシアの友人は「祈りの声を届かなくする」と言っていた。敬虔(けいけん)なイスラム教徒の彼は、共通の知人が飼うゴールデンレトリバー「ボンゴ」を避けていた。バンコクの公園は大抵、犬禁止。犬カフェの小さな庭を歩くシベリアンハスキーに涙した。

しかしマカティの野良猫、よく肥えている。公園内の飲食店が並ぶ通りの端に目を送ると、エサ箱が堂々と置かれている。子どももいかつい警備員も、犬猫様はVIP待遇。それが犬猫フリー先進国、フィリピン。(弘)


オーストラリア

西オーストラリア州では、ここ数年クジャクが大発生しているらしい。ヘビの天敵ということで、地域の安全に貢献しているようだが、鳴き声も体も大きいため、住民から苦情が上がることもあるという。

確かに、オーストラリアには日本と比べて体が大きめの野生動物が多いため、予期せぬ場面で遭遇すると少々驚く。キャンベラに住む友人は、仕事から帰宅したら家の玄関にカンガルーが立っていて、けられるのが怖かったのでしばらく中に入れなかったと言っていた。

筆者も自宅周辺でポッサムが夜な夜な格闘を繰り広げ、すさまじい鳴き声が響きわたりよく眠れないことがある。自然や動物に囲まれていることは確かにオーストラリアの魅力だが、日本で想像するような、動物園のおとなしい生き物とはひと味違うようだ。(梅枝)


インドネシア

日本と比べて小ぶりではあるが、とにかく蚊が多い。トイレや風呂場のため水にボウフラがいることも多く、蚊の発生源は無数にある。しかし、インドネシア人はあまり蚊に刺されていないように感じる。

刺されやすいと言えば日本では「O型?」と聞かれることが多いが、当地ではまず「シャワー浴びてないの?」と不名誉なことを言われる。何を根拠に、と思うが、これが案外的を射ており、汗や雑菌に蚊が集まりやすいことは科学的にも証明されている。イスラム教徒は1日5回のお祈りのたびに、顔や手、足の先まで丁寧に水で洗い流す。それに比べて帰宅するまで靴を履きっぱなしの自分の足に蚊が集まってくるのは当然と言えば当然かもしれない。

デング熱など蚊を媒体とする感染症が多い当地。清潔にしていなさいという宗教の教えが、病気予防にも一役買っているようだ。(希)

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