【アジア業界地図】
スマートフォン編
中国、台湾、韓国、タイ、ベトナム、インドネシア、インド
今年5月、中国の小米科技(シャオミ)が設けた香港初の路面店=旺角(NNA撮影)
韓国サムスン電子、米アップルの2大メーカーがけん引してきたスマートフォン市場だが、アジアでは新興国を中心に、中国メーカーの勢いが加速している。各社とも新機種投入に加え、小売網の拡大にも注力しており、猛進は今後も続きそうだ。
【中国】
販売台数シェア:17年通年
地場ファーウェイの
ハイエンド機種が好調
中国のスマートフォンは一般的に1,000元(約1万6,200円)未満がローエンド機種、1,000元以上3,000元(約4万8,500円)未満がミドルレンジ機種、3,000元以上がハイエンド機種に分類される。
国内シェアでトップを走る地場メーカーの華為技術(ファーウェイ)は2018年に入り、ハイエンド機種の旗艦モデルとなる「P20」シリーズを発売。ハイエンド機種に強みを持つ米アップルに対して攻勢を強めている。
【台湾】
販売台数シェア:18年7月
7月シェアはアップル縮小
地場のASUSが健闘
スマートフォン専門サイトの手機王(SOGI)がまとめた統計によると、台湾のスマホ市場の7月の販売台数は前月比18.4%増の53万4,000台で、2カ月ぶりにプラス成長に転じた。
販売台数で見たメーカー別シェア1位はアップルだったが、シェアは前月から3.5ポイント縮小。台湾・華碩電脳(ASUS)は前月から5.4ポイントシェアを拡大し、中国・広東欧珀移動通信(OPPO)を抜いて再び3位につけた。
【韓国】
販売台数シェア:17年通年
サムスン、LGの2社で8割
19年はフォルダブル発売か
韓国スマホ市場は、サムスン電子、LG電子の地場メーカー2社が8割以上のシェアを持ち、アップルは10~20%台での推移が続く。韓国2社は毎年それぞれ、旗艦モデル2種を投入し、買い替え需要を取り込んできた。ただ、サムスンが3月に発売した新型スマホ「ギャラクシーS9」は新鮮味に乏しく、販売が伸び悩んでいる。同社は画面を折り畳んで、見開きで使うスマホ「フォルダブル」を19年に発売する計画とみられ、販売不振からの巻き返しを狙う。
【タイ】
出荷台数シェア:17年7~9月
平均単価は上昇傾向
デュアルカメラ機種が主流
タイの18年のスマホ市場は、販売台数ベースで縮小する半面、OPPOやファーウェイなど中国メーカーによる相次ぐ中高価格帯の商品の投入で単価が上昇し、金額ベースでは拡大するとみられる。携帯電話販売大手ジェイマート・モバイルの予測では、販売台数が1,700万~1,800万台で前年から1割程度減少する。平均単価は17年の6,000バーツ(約2万円)から7,000~8,000バーツへ上昇する見通し。自撮りに最適なデュアルカメラの機種が主流となっている。
【ベトナム】
販売台数シェア:17年7~9月
BPhone、モビスターら
地場スマホメーカーが健闘
サムスンやアップル、OPPOといった世界的なメーカーはベトナムでも健在。ここ1~2年の動向としては、それ以外のメーカーが存在感を発揮していることだ。一度ベトナムから姿を消した「ノキア」のスマホは17年に復活し、アップルのシェアを抜いた。
このほか、中国のシャオミに加えて地場メーカーが展開するBPhone(ビーフォン)やモビスターも順調に伸びており、3位以下のシェア争いが激しくなっている。
【インドネシア】
出荷台数シェア:18年4~6月
目立つシャオミの大躍進
自撮り向きの機種が人気
第2四半期(4~6月)の販売台数は前年同期比18%増の940万台。シャオミは販売台数を前年同期比で9倍以上伸長し1位を猛追している。地場のアドバンは価格で勝負し5位についた。インドネシアでは、「iPhone」などの高級機種の新品を買えるのは上位中間~富裕層のみ。大半の消費者は価格帯の低い新品か、中古品を店舗や知り合いから購入する。自撮りを好む国民性のため、カメラ性能が高い機種や、写真加工アプリを搭載した機種の人気が高い。
【インド】
出荷台数シェア:18年4~6月
ライバルかわしたサムスン、
2四半期ぶりに首位の座
インドの第2四半期のスマホ市場全体の成長率は、前年同期比18%を記録。新機種を多数投入し、積極的な販売促進キャンペーンを実施したサムスンは2四半期ぶりに首位の座を取り戻した。17年10~12月から2期連続で首位だったシャオミは、過去最高の出荷台数を記録したものの2位。3位以下のシェアは、中国・維沃移動通信のvivoが12%、OPPOが10%、ファーウェイのサブブランド、栄耀(Honor)が3%だった。
Close up
シェア1位世界はサムスン日本はアップル
販売台数シェア:18年4〜6月
米調査会社IDCが発表した2018年第2四半期(4~6月)の世界市場でのスマホシェア(出荷台数ベース)で目立ったのが、ファーウェイの躍進だ。出荷量は5,420万台で、アップルを超え2位に浮上した。同社は世界シェア1位を目標に掲げており、来年には第5世代(5G)移動通信システム対応の機種を発売する予定。一方、日本ではアップルが244万台を出荷し、シェアのトップを維持したものの、前四半期の49.4%から34.6%と大きく下落。前四半期のシェア5.9%で5位だったサムスンもその座を守った。