【Aのある風景】
「カンボジアフェスティバル2018」リポート
クメール美女が届けるカンボジアの風
カンボジア
国際文化交流イベントとしてすっかり定着した、東京・代々木公園の各国フェスティバル。5月はタイ、ベトナムなど東南アジア諸国のフェスが毎週末開催され、大きなにぎわいを見せていた。3日と4日に行われた「カンボジアフェスティバル」もそのひとつ。4回目となった今年は日本・カンボジア間の外交関係樹立65周年とあり、例年よりイベント規模を拡大。2日間で約10万人の入場者を集めた。(文・写真=NNA東京編集部 古林由香)
ハーブやココナツの優雅な香りに誘われ、たどり着いたのは飲食ブース。カレー風味の名物料理「アモック」や、カンボジア風ちまきなど、郷土料理がずらりと並ぶ。食欲を刺激された日本人がそちらに群がる一方、在日カンボジア人が列をなしていたのが国際送金サービスの企業ブース。自国向けの送金カードを即日発行してもらえるとのことで、皆、熱心に案内に聞き入っていた。
フェスの目玉となったのが、野外ステージでの歌やダンスなどの公演。中でも、国内外で高い評価を受けているカンボジア王立舞踊団による古典舞踊ステージには、老若男女問わず、多くの観客が詰め掛けた。
特別企画として行われた「ミス&ミスターコンテスト」。ファイナリストとして女性9人、男性6人が登場。ミスに選ばれた富倉晴美さん(20)は在日カンボジア人二世の大学生。「選ばれてうれしい。将来は日・英・カンボジア語を使い、両国の架け橋になれる仕事をしたい」。ミスターに選ばれたセーン・ソッリーさん(23)は、王立プノンペン大学で日本語を専攻する大学生で、現在、日本留学中。「予想外の結果で驚いている。将来は日本企業に就職し、通訳として両国をつなぎたい」
ここで少し、舞踊団とカンボジア古典舞踊の説明を。アンコール王朝時代(9~15世紀)に発展したカンボジアの古典舞踊は、神事の際の奉納芸能が起源で、優美な動きが特徴だ。1970年代のポルポト内戦で舞踊家の9割が殺害され、舞踊団も消滅してしまうが、生き残った関係者たちの尽力により、文化芸術省の管轄下で舞踊団が復活。現在は王室行事で舞を披露するほか、世界各地で公演を行っている。
今回、来日したのは5人の女性舞踊家。初夏らしい南風が吹く中、荘厳な音楽に乗ってクメール美人たちが舞う姿は、優雅のひと言だ。年齢も、来日理由もさまざまであろう在日カンボジア人たちが皆、誇らしげな微笑を浮かべながら舞台を見つめていたのが印象的だった。
公演後、来日2年目という女子留学生が興奮気味に語ってくれた。「このフェスに、こんなにも多くの日本人が来るのも驚きだし、カンボジア文化を知ってもらえる機会になって本当にうれしい。来年以降もずっとやってもらいたい」