NNAカンパサール

アジア経済を視る June, 2018, No.41

初の政権交代、92歳のマハティール新首相が誕生

激震 2018年マレーシア総選挙

1957年の独立以来、国民戦線(BN)を中心とする与党連合が政権を握っていたマレーシアで、初の政権交代が実現した。5月9日に実施された連邦議会下院選で、マハティール氏率いる野党連合パタカン・ハラパン(希望連盟・PH)が勝利。1981~2003年に首相を務め、強烈なリーダーシップで「ルックイースト政策」を推し進めた同氏が、15年ぶりに政権の頂に立った。新政権誕生を報じたNNA POWER ASIAの主要記事10本をセレクト。

希望連盟(PH)は「国民戦線(BN)の圧倒的勝利」との予想を覆し、政権交代を実現した=5月10日未明、スランゴール州(NNA撮影)

希望連盟(PH)は「国民戦線(BN)の圧倒的勝利」との予想を覆し、政権交代を実現した=5月10日未明、スランゴール州(NNA撮影)


15年ぶりマハティール時代へ 野党連合が勝利で初の政権交代NNA POWER ASIA 2018年5月11日付

マレーシア

マレーシア連邦議会下院選(定数222)で、マハティール元首相率いる野党連合パタカン・ハラパン(PH)が勝利し、1957年の独立以来、初の政権交代が実現する。事前の世論調査ではナジブ首相率いる与党連合、国民戦線(BN)が国内経済の回復基調などを背景に優勢とみられていたものの、「反フェイクニュース法」の施行など野党の封じ込め策などへの反発もあり、世紀の番狂わせとなった。


歴史に残る「熱い2日間」 民衆の目厳しく、奇跡の政権交代NNA POWER ASIA 2018年5月16日付

マレーシア

5月9日に実施されたマレーシアの第14回総選挙は、現在の与党連合(PH)が下院選で過半数の113議席、州議会で国内13州のうち7州を掌握し、独立以来初の政権交代となった。60年にわたって作り上げられた国民戦線(BN)中心の政治システムを打破し、奇跡ともいえる新政権樹立を支えたのは、有権者たるマレーシア国民自身だ。なぜ市民はPHを熱狂的に支持したのか。首都圏を中心に、マレーシア史上に残る「熱い2日間」を追った。


新政権、GST廃止は既定路線 物価下落は未知数、歳入減が課題NNA POWER ASIA 2018年5月15日付

マレーシア

マハティール新政権下で財務相に指名されたリム・グアンエン氏は5月12日の記者会見で、与党連合・希望連盟(PH)が公約として掲げたGST(消費税)廃止について、あらためて強調した。政府は、GST以前に適用していた売上・サービス税(SST)の再導入で税収を補うと説明しているが、徴税の仕組みが全く異なることから大幅な税収減は避けられない見通しだ。


GST、来月1日から0%に 議会承認経て「廃止」の方針NNA POWER ASIA 2018年5月17日付

マレーシア

マレーシア財務省は5月16日、6月1日より物品やサービスを購入する際にかかるGST(消費税)の税率を6%から0%に引き下げると発表した。先の総選挙で勝利した与党連合・希望連盟(PH)が掲げていた公約の一つ「GST撤廃」が新政権発足後、わずか1週間で表明されたことに市場関係者は驚きを隠せない様子だ。


外資系自動車、GST撤廃で各社が対応発表NNA POWER ASIA 2018年5月21日付

マレーシア

マレーシアで6月から実質的にGST(消費税)が廃止されることを受けて、外資系自動車メーカー各社が対応を発表している。ホンダ・マレーシアは5月18日、同社の一部車種を対象に、5月18~31日の販売価格からGSTの現行税率6%分を値引きすると発表した。対象車種は◇小型乗用車「シティ」のガソリン車◇セダン「シビック」◇スポーツタイプ多目的車(SUV)「CR―V」◇同「HR―V」――の4車種。


投票を通じた「民主化」 ジェトロ・アジア研、中村氏寄稿NNA POWER ASIA 2018年5月21日付

マレーシア

5月9日に実施されたマレーシア連邦議会下院選(定数222)は、マハティール氏率いる野党連合・希望連盟(PH)が過半数を制し勝利した。1957年の独立以来の政権交代に多くの国民は歓喜したが、長期政権を担った与党連合・国民戦線(BN)に対する閉塞感の打破だけでなく、民主的な国家統治(政治)への一歩との見方もある。日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の中村正志氏は、「投票を通じた民主化」をもたらしたと評する。


「100日間10の約束」が試金石 ジェトロ・アジア研、熊谷氏寄稿NNA POWER ASIA 2018年5月22日付

マレーシア

マハティール新政権が5月21日、王宮での主要閣僚の宣誓式を経て本格始動した。首相に就任した10日以降、選挙公約(マニフェスト)の実行に次々と着手した。目玉の一つが消費税(GST)の廃止で、既に6月から税率0%への事実上の撤廃を打ち出している。日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の熊谷聡氏は、新政権の経済政策の手腕は発足100日間の公約がモノサシになるとして、注視する。


ボルネオ島から見る2018年マレーシア総選挙
山本博之(京都大学東南アジア地域研究研究所准教授)NNA POWER ASIA 2018年5月22日付

マレーシア

今回(2018年5月)の選挙でなぜ与党連合・国民戦線(BN)が敗北したのか。この問い方は適切ではない。マレーシアは半島部、東マレーシアのサラワク州、サバ州の3つの地域に分かれており、政党構成原理も政治イシューも異なっている。国会の約75%の議席を占める半島部の与党連合が中核となる連邦政府は、サバ・サラワク両州にとって「海の向こう」の話で、増税などで日常生活に直接関わらない限り、半島部のどの陣営が連邦政府を構成しても大差ない。


マハティール新政権の動向注視 二国間関係の行方、専門家に聞くNNA POWER ASIA 2018年5月23日付

シンガポール

マレーシアでマハティール新政権が誕生したことで、同国と緊密な関係を持つシンガポールでは外交、経済分野を中心に二国間関係の行方に関心が高まっている。シンガポール―マレーシア・クアラルンプール間の高速鉄道(HSR)事業など両国間で進行中の大型プロジェクトも多い中、友好関係を維持したいシンガポールに対して、隣国の新政権がどうでるのか。マレーシアの政権交代がシンガポールに与える影響などについて専門家らに聞いた。


高速鉄道計画の中止を表明 シンガポールへの違約金発生もNNA POWER ASIA 2018年5月30日付

マレーシア

マレーシアのマハティール首相は5月28日、首都クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道(HSR)計画を中止すると明らかにした。総工費1,110億リンギ(約3兆100億円)の莫大な費用に見合った国益が得られないと判断した。建設計画で合意しているシンガポールに対しては、違約金を支払うことになる見通しだ。インフラ輸出を成長戦略の柱に据え、官民挙げて新幹線方式での受注を目指してきた日本にとっては痛手となる。

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