【アジア業界地図】二輪車編
インド、中国、インドネシア、ベトナム、タイ、フィリピン、パキスタン
主要市場 鈍化やマイナス成長も
世界の二輪車市場の約8割を占めるアジア。最大市場のインドは堅調な伸びが続くが、中国やインドネシアなどの他の主要市場は成熟し、伸びの鈍化やマイナス成長もみられる。アジア主要国の二輪市場の今をみてみよう。
【インド】
1,917万6,908台(前年比8.4%増)
ヒーロー・モトコープ(648万3,655台)
ホンダ(472万5,067台)
バジャジ・オート(200万1,391台)
【中国】
1,508万7,000台(前年比2.4%増)
大長江、隆キン(キン=金が3つ)、力帆、宗申、銀翔、広州大運、
五羊─本田(ホンダ)
【インドネシア】
588万6,103台(前年比0.8%減)
ホンダ(438万5,888台)
ヤマハ(134万8,211台)
カワサキ(7万8,637台)
スズキ(7万2,191台)
TVS(1,176台)
【ベトナム】
327万2,373台(前年比4.8%増)
業界団体のVAMMにホンダ、イタリア系ピアジオ、スズキ、台湾系SYM、ヤマハの5社が加盟。ホンダとヤマハはそれぞれ2桁の市場シェアを占める
【タイ】
181万771台(+4.2%)
ホンダの17年販売台数は145万5,000台で、約80%のシェアを占める
ヤマハの17年販売台数は26万8,747台で、シェアは前年の14.1%から14.8%に上昇
急成長!
フィリピンとパキスタンの二輪車市場が急成長している。所得水準の向上や治安の改善、新モデルの投入が背景。フィリピンは業界団体に加盟するメーカーの17年販売台数が前年比で15.7%増加。パキスタンは16/17年度(16年7月~17年6月)の販売台数が20.5%増の約163万台だが、パキスタン市場の過半を占める地場系など統計に反映されていないメーカーも多い。実際の市場は200万台を超え、タイを上回っているとされる。
パキスタンから現地リポート
さらなる市場拡大 女性が鍵に
治安が改善したパキスタンの二輪車市場に変化が出始めている。パキスタンでは女性が二輪車を運転している光景はほとんどみられない。しかし、イタリアの二輪ピアジオ・グループは高級スクーター「ベスパ」の販売を、地場二輪製造のラビ・グループを通じて開始。イタリアから輸入する。価格は30万パキスタンルピー(約30万円)と高いが、ピアジオの動きは女性が近い将来、二輪車を運転することを見越したものとして注目される。
人口が2億人であるにも関わらず、市場規模は約200万台と少ない。女性の運転が本格化すれば市場はさらに拡大する。日系ではホンダが約100万台を販売しているが、ヤマハ、スズキは数万台レベルにとどまっており、市場の半分は地場系が占める。
最大の人口を抱えるパンジャブ州も女性の社会進出促進という観点から、二輪車乗車を促している。女性購入者へのローンを今年、一時的に実施した。しかし、パキスタン・オートショーで二輪車と一緒に写真を撮影していた女性は「パキスタンで女性は二輪車を運転できない」と述べ、現実にはまだ難しいことを示唆した。