中国最高学府の2トップを徹底比較!
清華大学VS北京大学
中国
「理系の清華、文系の北京」とも言われ、各種大学ランキングで熾烈な争いを続けている両大学。英教育誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)の「アジア大学ランキング2018」で発表した教育力や研究力のスコアを元に、両大学の強さを探ってみた。
清華大学
清華大学強みは世界レベルの研究力1911年の設立後、大学再編成のため52年に文系の学院を北京大学に移管。同時に北京大学の理工系の学院を吸収し、理工系に重点を置く大学となった。再編成を経て、現在の総合大学に。THEアジア大学ランキングで今年初めて北京大学を抜き、2位に躍り出た。その理由をTHEは「論文の被引用件数や研究力が増加した」と説明した。産学連携を積極的に行っており、94年にはサイエンスパーク「清華科技園」を設立。ITやバイオ製薬など、ハイテク業界を中心とした企業と研究開発を行っている。日系企業では東芝が2011年にエネルギー・環境分野の研究センターを清華大と共同で設立している。
大学DATA
北京大学
北京大学産業界からの収入と国際性が高評価中国初の国立大学として設立され、「北大」の愛称を持つ本校。文理系の基礎教育と研究を主軸にし、各界に優れた人材を輩出している。国際交流と国際協力を積極的に行っており、世界各地の大学と交流関係を結んでいる。THEのランキングでは、清華大学より国際性で10ポイント以上高い評価を得た。北京大学国際関係学院を卒業後、東京大学大学院に留学し、現在は都内の銀行で働く中国人女性(27)は「校風は自由。各省の成績トップを張る意欲的な学生が集まるので、勉強で苦労している人はいなかった。北京大卒で良かったのは、優秀な人たちとのつながりができたこと。日本でも北京大卒と言うと反応が良いのがうれしい」と語る。
大学DATA
ジャーナリスト・中島恵さんに聞いた
中国の大学最新事情
高まる海外志向 背景に過酷な国内競争膨大な人口や特殊な戸籍制度を背景に、中国は大学受験や就職の競争が日本とは比べものにならないほど過酷だ。コネや運次第のところもあり、国内のトップ大学や大学院を出ただけでは、一流企業の社員や大学教授といった「良い仕事」に就くのは難しい。海外の名門校の方が箔が付くとの見方もあることから、それなりに経済力がある人は海外の大学へ進むことがブームになっている。留学先は米国や英国が多いが、日本も選択肢の一つとなっている。理由としては、距離の近さや治安の良さ、アルバイトのしやすさなどが挙げられる。日本での留学先は東京大学と並んで早稲田大学の人気が高い。共産党の創設メンバーやその他有名人が多く卒業し、中国でブランド力があるためだ。中国のエリートが目指し、一般的に一流企業と言われるのは、国内の大手企業や国有企業、そして高賃金の米系大手企業だ。また彼らの就職や仕事への向き合い方は日本と異なる。入社し2年ほどしたら転職するのは普通だ。起業志向も日本より断然高く、ITやフィンテックの分野で新しいサービスがどんどん生まれている。