NNAカンパサール

アジア経済を視る February, 2018, No.37

[4〜6位]

アジアでは経済成長に伴い鉄道をはじめとする社会インフラ整備の需要が膨らみ、情勢は短期間で大きく動くことも多い。日本勢も売り込みに力を入れる中、最近のNNAのニュースから関連ランキングをまとめた。

物流環境の地域格差が鮮明に=商工省発表NNA POWER ASIA 2018年1月11日付

インド

西部マハラシュトラ州の幹線道路。トラック輸送はインドの物流全体の60%を占めるといわれる(NNA撮影)

インドの物流環境は地域間で格差があるようだ。商工省が1月8日に発表した「物流環境指数(LEADS)」によると、上位には西部や南部、北部の州が名を連ねた。一方、下位には東部と北東部の州が集中した。インド政府は州ごとに「物流の実力」を評価して、自治体に競争原理を植え付け、環境改善を促す考えだ。

地元各紙によると、上位は、西部マハラシュトラ州、同グジャラート州、北部パンジャブ州、南部カルナタカ州など、製造業が盛んな地域が目立った。工業製品が多いため、輸送にスピードと品質が求められることが、官民の間で競争原理が生まれる土壌になっているようだ。

一方、下位は、東部・西ベンガル州、同ジャルカンド州、ビハール州、北東部アッサム州など、農作物など一次産品の生産地が多かった。特に東部・北東部は物流業界にとって「悩みの種」(企業関係者)。倉庫の数が不足していることや、大手の物流業者が少なく、中小零細が多いため輸送の品質に問題があるといわれる。

ある物流企業の関係者は、東部・北東部への輸送は日程調整が難しく、「計画より2日遅れることもある」と話す。貨物に破損が生じるリスクもある。「物流は人間の仕事。道路インフラはそれほど悪くないが、業者のレベルに問題がある」という。

トヨタ、18年の販売・輸出で30万台目指すNNA POWER ASIA 2018年1月17日付

タイ

18年の事業見通しについて説明するTMTの菅田道信社長=バンコク(NNA撮影)

トヨタ自動車は1月16日、タイにおける2018年新車販売と輸出台数で、それぞれ30万台を目指す方針を明らかにした。販売は前年比2桁増と大幅な上積みで6年ぶりのプラス成長を見込む一方、輸出はほぼ横ばいとなる見通し。

現地法人タイ国トヨタ自動車(TMT)の17年の販売台数は前年比2.0%減の24万137台で、5年ぶりにプラス成長となった新車市場で前年割れの状況が続いた。乗用車が10.7%増の9万6,606台と伸びた半面、1トンピックアップトラック(乗用ピックアップ=PPV=含む)をメインとする商用車が9.1%減の14万3,531台と振るわなかった。

TMTの菅田道信社長は「トヨタにとって苦難の年になった」とコメント。18年は新車販売を24.9%伸ばし、シェアを17年の27.6%から33.3%に回復させる考え。

また、17年の完成車(CBU)輸出台数は前年比6.0%減の29万9,385台で、輸出額は1,593億バーツ(約5,515億円)。OEM(相手先ブランドによる生産)部品を含めた輸出総額は2,247億バーツだった。

今年の輸出台数は30万台と小幅な伸びにとどまると予測。菅田氏は昨年に落ち込んだ主要仕向け先の中東で急激な回復は期待できないとする一方、オーストラリアや米国は好調に推移しており、わずかな上積みが見込めるとの見通しを示した。

18年の成長率予想6.6%、懸念は中国経済の減速NNA POWER ASIA 2018年1月16日付

ベトナム

18年の成長率予想6.6%、懸念は中国経済の減速

2017年は通年で6.8%の国内総生産(GDP)成長率を達成したベトナム経済。政府は18年の成長率目標として、6.5〜6.7%を掲げ、地場の証券会社からは「7%の達成も可能」と強気の見通しも聞かれる。専門家は18年の経済成長とリスク要因について、見通しは良好である一方、中国経済や公共投資の減速が足を引っ張る可能性があると指摘している。

みずほ総合研究所アジア調査部のエコノミスト、松浦大将氏と三井住友銀行アジア・大洋州トレジャリー部(シンガポール)のエコノミスト、鈴木浩史氏は、18年の成長率を共に6.6%とする見通しを示した。輸出が好調を維持すると見られることや、個人消費も活発なことで、内需・外需ともに高い水準で推移する可能性が高い。

一方、17年(6.8%)よりも成長率が減速する理由について鈴木氏は、「世界的な半導体需要の強さがスローダウンすること」と説明する。今後の成長率を左右する要因の一つとして同氏は「政府の公共支出やインフラプロジェクトの進捗(しんちょく)に注目している」と話す。

松浦氏は18年のリスク要因として、中国経済やIT貿易が減速する可能性があると話す。中国政府は投機の抑制や、過剰な生産能力の調整を強化するとしており、成長率は緩やかに減速すると予想される。また、IT貿易に関しては、ピークを越えたことで17年までの勢いがやや鈍る可能性が高いという。

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