NNAカンパサール

アジア経済を視る January, 2018, No.36

鉄道・インフラ編[7〜10位]

アジアでは経済成長に伴い鉄道をはじめとする社会インフラ整備の需要が膨らみ、情勢は短期間で大きく動くことも多い。日本勢も売り込みに力を入れる中、最近のNNAのニュースから関連ランキングをまとめた。

円借款4件1170億円表明
首脳会談、ラカイン支援も用意NNA POWER ASIA 2017年11月15日付

ミャンマー

会談前に握手するミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相(左)と安倍首相=17年11月14日、マニラ(共同)

安倍晋三首相とミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は2017年11月14日夕、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議のため訪問中のフィリピンの首都マニラで会談した。16年11月に東京で会談して以来で、安倍首相は引き続き官民を挙げて民主的な国造りを支援していくと表明。西部ラカイン州の状況についても、スー・チー氏の状況改善のための取り組みを後押しする用意があると述べた。円借款4件、供与限度額計1,170億4,000万円の事前通報も行った。

日本外務省によると、安倍首相は約15分間の会談で、最大都市ヤンゴンの開発、運輸、電力を中心に具体的協力を加速するとし、ヤンゴン・マンダレー鉄道、農業所得向上、中小企業金融、住宅金融、少数民族地域支援などに計約1,250億円の協力を行うと表明。ラカイン州の状況は深刻に懸念しているとし、法に従った治安回復と人道支援アクセスの回復、避難民帰還に期待を表明、状況改善の取り組みを後押しする用意があると述べた。スー・チー氏からは日本のさまざまな協力に対する謝意が示され、ラカイン州における人道支援、道路、電力などの支援は平和と安定につながるとの発言があった。

日本側は円借款4件、供与限度額計1,170億4,000万円の事前通報を行った。◇農業所得向上計画=供与限度額304億6,900万円◇ヤンゴン・マンダレー鉄道整備計画フェーズ2第1期=566億2,200万円◇中小企業金融強化計画フェーズ2=149億4,900万円◇住宅金融拡充事業=150億円――で、供与条件はいずれも金利年0.01%、 償還期間40年(10年の据置期間含む)、調達条件は一般アンタイド。4案件は16年11月に安倍首相がスー・チー氏と会談した際に表明した官民の5年間で8千億円規模のコミットメントの一部。

現代ロテムが新技術、高速鉄道の性能が向上NNA POWER ASIA 2017年11月24日付

韓国

現代ロテムが開発した電力変換装置(同社提供)

韓国の鉄道車両メーカー、現代ロテムは2017年11月23日、高速鉄道の性能向上につながる新技術の開発に成功したと発表した。政府系の韓国鉄道技術研究院と共同で取り組んできたプロジェクトで、開発までに4年を要した。商用化されれば、高速鉄道(KTX)でソウル駅から釜山駅までの所要時間は2時間8分と、5分間短縮する。消費電力も抑えられる。

現代ロテムは今回、車両の出力と推進力を10%引き上げることができるという電力変換装置を公開した。さらに同装置の冷却性能を25%高められる技術も併せて開発。故障の原因となる、ちりやごみの流入も完全に遮断できるようにした。

線路不要の路面電車、湖南で試運転開始NNA POWER ASIA 2017年10月26日付

中国

中国でも初というレール不要の路面電車=17年10月23日、湖南省株洲市(新華社)

中国最大の鉄道車両メーカー、中国中車系の中車株洲電力機車研究所が開発したレール不要の路面電車「スマート軌道快運列車(智軌列車)」の試運転が、湖南省株洲市の公道上で2017年10月下旬から始まった。新華社電や毎日経済新聞(電子版)が伝えた。

1編成は3~5両で、定員は300~500人。10分間の充電で25キロメートルの運行が可能という。路上に引かれた白線に沿って走行し、最高時速は70キロ。レールを敷設する必要がないため、工期は1年程度で済み、建設費用を大幅に削減できるのが特徴だ。

日立、社会インフラ売り込み
都市・電力関連の事業さらに注力NNA POWER ASIA 2017年11月9日付

インドネシア

AIやIoTを活用した社会ソリューションをインドネシアに提供していきたいと話す日立アジア(インドネシア)の池末社長=17年11月8日、ジャカルタ(NNA撮影)

日立製作所は、インドネシアでソリューション事業の売り込みを強化する。グループとして海外売上高比率を55%まで拡大する目標を打ち出しており、有望市場としてインドネシアを位置付けている。政府がインフラ整備事業や情報通信技術(ICT)産業の育成を強化していることから、セキュリティー、物流、金融などの分野に日立グループが持つ多岐にわたるノウハウを生かす。

日立製作所の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域統括会社である日立アジアの子会社、日立アジア(インドネシア)が2017年11月8日、首都ジャカルタで、ソーシャルイノベーション事業を紹介するイベント「日立ソーシャル・イノベーション・フォーラム2017インドネシア」を開催した。16年に続いて2回目。展示やセミナーを通じて、地場企業や政府関係者に日立グループの持つ技術やノウハウを紹介し、新しいソリューションを提案する。政府や企業の関係者ら約300人が参加した。

日立アジア(インドネシア)の池末崇社長はNNAに対し「16年は第1回フォーラムということで、日立グループが提供できるソリューションについてより多くの人に深く知ってもらうことが狙いだった。今年のフォーラムでは都市に関連したソリューション『アーバン』と、電力に関する取り組みを紹介する『パワー』の二つを中心に紹介する」と説明した。

出版物

各種ログイン