【Aのある風景】
気象情報の世界大手で活躍
中国チーム、新サービスに達成感
20人体制の中国向けサービスチームは全員中国人だ。他に韓国向けサービスチームも存在する(NNA撮影)
まだ存在しないサービスを生み出し、それが顧客に重宝される。これこそがこの仕事の楽しさであり、達成感を覚えるところです――。気象情報サービスの世界大手、ウェザーニューズ(千葉市)で中国向けコンテンツサービス・オペレーションリーダーを務める董安磊さん(38)はそう話した。
中国・山東省青島市出身の董さん。中国の日本語学校に在籍中、恩師の勧めで駒澤大学に留学、2006年からウェザーニューズで働き始めた。今は中国の船会社などに向けたサービスの開発も仕事の一つだ。例えば中国~米国を行き来する船舶がある。単に気象情報を提供するだけでなく、船舶のエンジンの性能や燃料消費量などさまざまな要素を考慮し、顧客のニーズに合わせ、安全第一で最適な航路を提案する。燃料を節約すると、結果的に排ガス量も減って環境負荷を抑えることができる。気象情報以外の付加価値をつけて強みとしている。
その国の人にしか分からないこと
フロアを見渡せば外国人スタッフが目に付く。世界25カ国の826人が在籍、このうち(日本人を除く)アジア出身者は80人以上を占める。これほど多くの外国人スタッフがいるのは、「やはりその国・地域で暮らす人にしか分からない現地感覚を大切にしているから」とは、広報担当で、気象予報士の大塚靖子さんの話。技術的なことは割愛するが、中国の黄砂と日本に飛来する黄砂は生活に与える影響が大きく違うという。もちろん、同じ言語で細かいニュアンスを顧客に伝えられることも大きく、シビアな状況下での意思決定の際は同じ言語でのコミュニケーションが重要となる。
グリジャナテ・アバケ(GULIJIANATI Abake)さん(34)は中国の新疆ウイグル自治区出身。自身の専門分野であるリモートセンシングを究めるため千葉大学に留学、博士課程を修め、昨年ウェザーニューズに入社した。地象センターで地震・津波のモニタリングや、航空機の安全なフライトを支援するため火山灰の拡散予測などを担当している。
まだ2年目、これからやりたいことはたくさんある。「仕事は楽しいし、もっと人の役に立ちたい。ウェザーニューズにしかできないサービスをどんどん増やしたい」と抱負を語った。
ウェザーニューズは日本11拠点を含む世界21カ国に34拠点を展開する。アジアでも気象情報を活用した減災、防災を広めるため、現地との協力を始めている。