NNAカンパサール

アジア経済を視る October, 2017, No.33

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プロの知と経験を結集

クラウド型国際会計サービスGLASIAOUS

内需の縮小に伴い多くの日本企業が海外に進出する中、現地拠点の管理強化が求められるようになった。そこで注目を集めているのが、グローバルに拠点を有する会計・税理士法人が東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)とIIJグローバルソリューションズ(IIJグローバル)のクラウド型国際会計基盤「GLASIAOUS Pro(グラシアス プロ)」を利用して提供する会計・財務サービスだ。多言語・多通貨に対応し、クラウドにより日本から海外拠点の財務状況をリアルタイムに把握できることで、評価を高めている。さらに今年は、海外に拠点を置く会計・税理士法人が運営委員として参画する事業体「GLASIAOUSコンソーシアム」が発足。国際会計業務のプロとIT企業の多種多様な知と経験を結集し、クラウド型国際会計サービスのデファクトスタンダード化を目指す。

海外拠点の管理強化が求められる昨今、日系企業の課題は何か。また、GLASIAOUSの強みや今後の展望はどのようなものか。コンソーシアムの運営委員会に所属する会計・税理士法人の4人に語ってもらった。

朝日税理士法人の山中一郎・代表社員によると、日本企業における海外の重要性は高まり、「在外子会社の売上高が日本本社の売上高を上回るような、海外事業の割合が高い会社は珍しくなくなった」。この結果、海外事業でも日本本社並みの管理が求められるようになってきた。しかし、実際に海外の子会社に駐在する日本人は製造部門や営業部門など直接部門の担当者であることが多く、管理業務に専門の人を割けないことが大きな課題となっている。

朝日税理士法人・代表社員 山中一郎氏

山中氏の顧客の例では、海外子会社の在庫の滞留状況について日本の本社に確認を求めたところ、期待通りの回答を得るのに1カ月ほどかかってしまうことがあったそうだ。このように、管理担当者を置けないことから現地の財務や税務の状況を把握しにくくなっている例は多いだろう。

日系企業の海外進出を会計・税務面で支援するGLASIAOUSの強みは、まさにこうした情報を「見える化」することだ。従来の記帳代行サービスとは異なり、世界各国に拠点を構える会計事務所のサービスとクラウド型の会計システムを組み合わせることで、顧客は海外子会社の財務諸表をはじめとする経営情報を、自国の言語や通貨で即時に参照することができる。

BDO税理士法人・統括代表社員 長峰伸之氏

BDO税理士法人の長峰伸之・統括代表社員はクラウドをベースとしたGLASIAOUSの利点について、「ユーザーは海外で入力したデータに手を加えながら、連結ベースでの作業を進めることもできる」と説明する。海外の経理を日本の本社で担えれば、現地子会社には本業だけに専念してもらうこともできるのだ。

会計には、コンプライアンス上の目的もあるが、企業にとっては、数字を分析していかに将来の戦略に生かすかということが第一の目的となるだろう。東京コンサルティングファームの小林祐介社長は、「海外に経理部門がなくても、現地の記帳を委託し、入力されたデータにリアルタイムにアクセスできるようになれば、スピード会計、ひいてはスピード経営にもつながってくる」とGLASIAOUSの魅力を話した。

コンソーシアムを発足

東京コンサルティングファーム・社長 小林祐介氏

今年8月には、ソフトウエアの提供や運営事務を担うB-EN-GとIIJグローバルに加え、会計・税理士法人の8社が運営委員会を構成する事業体「GLASIAOUSコンソーシアム」が発足した。市場のニーズやリクエストを一元的に吸い上げてサービスや機能を強化し、市場に還元するのが目的。運営委員会は戦略やマーケティングにかかる「戦略ワーキンググループ」と、機能やサービスにかかる「機能ワーキンググループ」を設置し、定期的に協議を開く。会員企業には、運営委員会の10社にベトナムとタイの会計・税理士法人の計2社も加わる。

朝日税理士法人の山中氏は「サービスや機能の充実を図ってほしいと思っても、個別の事務所の要望はなかなか作り手側に届きにくい。これからは各事務所が捉えた顧客のニーズがフィードバックされやすくなる」とコンソーシアム発足の意義を語った。

永峰・三島会計事務所・会計グループパートナー 西進也氏

「従来の統合基幹業務システム(ERP)は、あくまでも企業の業績を把握したい企業のトップのために開発されている。GLASIAOUSでは業務を代行する会計事務所側の視点からの機能の改善、強化を期待できる」。こう話すのは永峰・三島会計事務所の西進也・会計グループパートナーだ。同社では、外資系企業を対象とした記帳代行に支払いの代行業務が発生する。支払い代行では、送付された帳票を基に、取引先や金額、請求書の番号を入力する必要があるが、こうしたデータは経理の仕訳でも同じものを入力する手間がかかってしまっている。このため、コンソーシアムでは、入力を1回で完結させ、会計事務所の業務を短縮化できる機能を追加しようと今後、協議を進めていく予定という。コンソーシアムでは、海外に進出する日系企業のほか、永峰・三島会計事務所のように日本に進出する外資系企業をサポートするサービスも実施する。

専用ポータルサイトも

GLASIAOUSとは

コンソーシアムの発足と同時に、専用のポータルサイト「GLASIAOUS.com(グラシアス・ドットコム)」も開設された。サイトでは、コンソーシアムの会員が拠点を持つ約150カ国・地域における会計・税務制度などの情報を発信し、海外進出を検討する、または既に進出している日系企業へのサービスの幅を広げる。コンソーシアムでは、特定の会計事務所が拠点を持たない国・地域に進出する顧客に対し、その国・地域に拠点を持つ事務所を紹介するといった協業も目的としており、GLASIAOUS.comでは企業が会計・税理士法人を検索できる機能も搭載した。

B-EN-Gはコンソーシアムとポータルサイトの立ち上げによって、GLASIAOUSのユーザー企業数を2018年度までに1,000社に増やすことを目指す。


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