商業・流通編［１〜３位］

新規進出、店舗拡張、新商品の売り込みなど、アジアでは製造業以外も元気だ。どんなトレンドがあるのか。NNAが伝えるニュースから商業・流通に関連するトップ10をまとめた。

KLに初のウルトラマン店舗
コンセプトレストランで商機狙うNNA POWER ASIA　2017年８月30日付

マレーシア

テープカットでオープンを祝う円谷プロダクションの北澤氏（左端）＝8月29日、クアラルンプール（NNA撮影）

円谷プロダクション（東京都渋谷区）とマレーシアのサークル・インターナショナル・ホールディングス（CIH）は8月29日、マレーシア・クアラルンプール（KL）市内の「グロ・ダマンサラ・ショッピングモール」に、世界初となるウルトラマンの公式コンセプトレストラン「ウルトラヒーローズ・オフィシャル・ショップ＆レストラン」をオープンした。ウルトラマンを前面に押し出し、床面積の約8割を充てたレストランで、幅広い年齢層のウルトラマンファンの需要を開拓する。

レストランは、ショッピングモールの正面入り口横にオープンした。総面積4,000平方フィート（約372平方メートル）、120席あり、30人が着席できる個室も用意した。「せっかく食事をするなら、記憶に残る場所で」と話すのは、円谷プロダクションIRプロデュース本部海外事業部の北澤隆将アシスタントマネジャーだ。キャラクターに囲まれた環境で食事を楽しんだ後、お土産も購入できるオフィシャルショップを併設した。

国民の9割が認知

北澤氏は、2年前から現地パートナーのCIHと協議してきた。最終的にマレーシアへの進出を決めた理由に、ウルトラマンの認知度の高さを挙げた。事前調査の結果、9割を超えるマレーシア人が何らかの形でウルトラマンを知っていることが分かったという。CIHでレストラン部門を管轄するブランディング・ゼネラル・マネジャーのエリック・リム氏も、「ウルトラマンの認知度は東南アジア諸国連合（ASEAN）の中でマレーシアが最も高かった。店の場所はあまり関係なく、どこにあってもファンは来てくれるだろう」と自信をのぞかせた。

日本米は土鍋炊きで味わって
販路拡大へ、セットで売り込みNNA POWER ASIA　2017年８月23日付

中国

「かまどさん」でふっくら炊きあげた日本のご飯。目でも味わうことができる＝8月22日、大連市

土鍋で炊いた日本米のおいしさを中国人に知ってもらいたい─。日本米の味わいを一層引き立たせる土鍋炊きを中国に紹介し、日本米の輸出促進につなげようという取り組みが始まった。中国でも味の良さは認知されている日本米の付加価値をさらに高め、日本ならではのこだわりのコメとこだわりの調理器具をセットで中国へ売り込む狙いだ。

日本貿易振興機構（ジェトロ）が8月22日に遼寧省大連市内で開いた試食商談会には、地元の日本料理店や小売り関係者ら約50人が参加。伊賀焼窯元の長谷製陶（三重県伊賀市）が生産する炊飯土鍋「かまどさん」で炊いた北海道産の「ゆめぴりか」や石川県産の「コシヒカリ」などに舌鼓を打った。

大連市内で日本料理店を経営する中国人男性は「お客さんの目の前で土鍋ご飯を炊きあげればきっと喜ばれる。いいアイデアをもらった」と感心した様子。「うちは寿司と懐石がメインなのでご飯にはこだわっている」として、日本米と土鍋の組み合わせをさっそく商品化することを検討したいと話した。

ベトナムで「クール宅急便」
ヤマト、海外開拓の軸にNNA POWER ASIA　2017年８月23日付

ベトナム

地元メディアなどと会見するヤマトHDの山内社長（右）とヤマト365エクスプレスの松田社長（左）ら＝8月22日、ホーチミン市

ヤマトホールディングス（HD）は9月、保冷小口配送サービス「クール宅急便」をベトナムでも開始した。日本式の低温物流のノウハウを生かし、日本から輸入した生鮮食品を日本食レストランなどに宅配する。

クール宅急便の展開は東南アジア4カ国目となり、ホーチミン市を訪れたヤマトHDの山内雅喜社長は8月22日、「鮮度を保ったまま輸送できる新しい手段として非常に高い評価を得ている」として保冷小口配送を切り口に海外市場を開拓していく意欲を表明した。

地場バーサウナム・トレーディング・ロジスティクス（365エクスプレス）と新たに設立した合弁会社「ヤマト365エクスプレス」がベトナムでのクール宅急便を専門に手がける。まずはホーチミン市内が対象で契約法人にサービスを提供する。

日本から送られた生鮮食品はタンソンニャット空港到着後、空港から10分の距離にある保冷倉庫に運ばれ、仕分けされた後に保冷機能があるトラックやバイクで日本食レストランなどに配送される。温度帯は0〜10度の冷蔵とマイナス15度以下の冷凍に対応する。