出張前に押さえたい、注目国基本マニュアル
ベトナム編
ベトナム
ここ数年、6%台の経済成長を続けてきたベトナム。人口の規模は9,200万人と、低廉で豊富な労働力が魅力となり、日本公庫の調査では「中小企業の有望投資先」として3年連続1位を維持している。同国に拠点を置く日系企業の7割が「今後に事業を拡大する」としており、事業環境は良好のようだ。
北部では、大きな市場シェアを持つトヨタ自動車やホンダといった代表的な製造業者が工場を構える。一方、南部ではホーチミン市を中心に小売業やレストランチェーンが存在感を示す。イオンが大型のショッピングモールを4カ所に開業しているほか、ファミリーマートは100店、ミニストップは70店以上を展開。昨年7月には高島屋がオープンし、さらに今年6月にはセブン-イレブンも1号店を出した。
ベトナム全体の1人当たり国内総生産(GDP)は2,050米ドルほどと低い水準にとどまるが、ホーチミン市では5,200米ドルを超える。自動車の販売台数は昨年に初めて30万台を突破。製造拠点としてだけでなく、消費市場としても注目が高まりつつある。
注目トピック
NNAベトナム編集長が解説!
活発な韓国の対ベトナム投資
韓国とベトナムは1992年に国交正常化し、投資を本格化させた。当初は繊維・アパレル関連の投資が主流で、2000年代から電子・電機関連の進出が続き、現在に至る。サムスン電子やLG電子が進出し、関連するサプライヤーが大挙してついてきたことで、韓国からの海外直接投資(FDI)は金額・件数ベースともに日本を大きく上回る規模になった。
近年活発になっているとされるのは、消費関連の投資。ベトナムで中間層の購買力が高まっていることを踏まえ、ホテルや飲食、不動産、小売、食品、教育といった分野の投資が増えつつある。韓国企業にしてみれば、ベトナムの消費市場は隣国のタイほど日系企業が存在感を確立しているわけではなく、まだ攻め込む余地がある。ベトナムは国全体の1人当たりの国内総生産(GDP)は2,050米ドルほどと、まだ低い水準にとどまる。韓国企業は市場が未成熟なうちにリスクを取って事業を構築し、国全体が成長した後に大きな果実を狙う戦略だ。