自動車編[8位~番外編]
北九州企業が初の電気バス
太陽光で排出ゼロ、北部で実証NNA POWER ASIA 2017年2月13日付
ベトナム
環境エネルギー関連設備の開発・製造を手掛けるソフトエナジーコントロールズ(北九州市)は、北部ハイフォン市でベトナム初となる電気自動車(EV)バス事業の実証走行を開始した。北九州市が協力するハイフォン市の持続可能な発展に向けたプロジェクトの一環で、太陽光発電と連携させることで排ガスを出さない「ゼロ・エミッション」型バスとして2018年に10台の新規受注を見込む。
2月10日、市人民委員会や地元メディアの関係者らがいっぱいに乗った50人乗りバスが、バスやバイクが行き交うハイフォン市街地を20分ほどかけて一周した。北九州市が事業報告の一部として実施した試乗会で、乗車した市人民委の女性職員は、「動き出しがとてもスムーズ。気づかないくらい」と顔をほころばせた。
実証走行で利用されるEVバス
試乗会で使われたEVバスは、ソフトエナジーと中国のバスメーカーが共同開発した。ソフトエナジーはバス車体にアルミ合金を用いることで「世界最軽量」のEVバスを実現。さらに独自のバッテリー制御技術で、1回の充電で160キロメートルを走行可能とした。
自動車保険が好調、16年損保市場は1割拡大NNA POWER ASIA 2017年2月20日付
フィリピン
フィリピンの損害保険市場が堅調に成長している。2016年通年の損保業界の売り上げ規模を表す元受収入保険料(速報値)は、前年比9.9%増の785億1,067万ペソ(約1,784億7,000万円)に拡大した。保険委員会(IC)によると、保険料の5割を占める自動車保険や、傷害保険が好調だった。
16年12月時点で、ICの認可を得て営業する損保は70社に上る。元受収入保険料ベースでは、東京海上ホールディングスが出資するユチェンコ系のマラヤン・インシュランス(MICO)が、15年に続き首位に立った。
地元紙によると、ICのフナ委員長は「損保の保険料全体の50.9%を占める自動車保険が成長に寄与している」と分析した。輸入車を含む16年の新車販売台数は約40万台で、前年から25%拡大している。
損保業界の関係者は今後の見通しについて、「マクロ経済の成長と連動して損保市場も伸びていくだろう」と話す。不確定要素は、政府が18年に計画する新車物品税の引き上げ案だ。増税によって自動車の販売が不調になれば、保険販売にも影響するため、今後の展開を注視していくという。
自動車産業に秋波
アフリカ見据え部品拠点にNNA POWER ASIA 2017年2月14日付
スリランカ
スリランカ政府が自動車や自動車部品メーカーの誘致に注力している。同国の乗用車の登録台数は2015年時点で70万台足らずと市場規模は小さいものの、地理的にアフリカ大陸に近いことなどをアピールし、自動車部品の国際的なサプライ・チェーンの一角を占めることを目指している。同国の自動車政策に関する政府顧問を務めるディマンサ・ジャヤワルデナ(Dimantha Jayawardena)氏に話を聞いた。
――最近改正されたスリランカの自動車政策の主な変更点は。
スリランカ政府は、自動車や自動車部品のメーカーを国内に誘致するための税優遇を開始した。優遇の条件は、海外からの材料や部品などの輸入に対して、スリランカ国内の工程で3割の付加価値を加えることだ。
国内の自動車産業の振興と部品メーカーの育成を進める上で、外国企業の支援が欠かせない。地場企業と外資との合弁を促進することで、地場企業には技術の獲得、外資にはスリランカ国内での競争力の向上が見込めると考えている。
スリランカの自動車市場は決して大きくないため、完成車の製造ハブとしての可能性は低い。ただし、自動車部品についていえば、国際的なサプライ・チェーンに食い込む機会は十分にあると考えている。国内には国際港があり、複数の国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる。自動車部品産業を支えるだけの人材もそろっている。
――自動車部品産業の振興の目的は。
自動車は、経年や走行距離に応じて必ず部品の交換が必要になる。現在、スリランカは交換用部品のすべてを輸入に頼っており、まずはこれらを国内製にシフトしたいと考えている。
次に目指すのがアフリカ市場を見据えた自動車部品の国際的なサプライ・チェーンの一角を占めることだ。スリランカはアフリカ大陸と地理的に近く、アフリカ諸国との結びつきも深い。自動車産業が集積しているタイと東アフリカとのほぼ中間地点に位置することから、タイに拠点を置くメーカーとも提携交渉を進めている。
――日本の部品メーカーを誘致する計画は。
現在、日系企業2社と交渉を行っており、地場企業との合弁を要請している。スリランカで販売されている新車や中古車の多くは日本のメーカーのものであり、日本車へのなじみは深い。受け入れ態勢に問題はないと考えている。
車部品はメキシコで先行者利益をNNA POWER ASIA 2017年2月3日付
メキシコ
日鉄住金物産は2月1日、代理販売するメキシコ・リンテル工業団地を紹介するセミナーを東京で開催、「特に自動車部品のティア2、ティア3(2次下請け、3次下請け)が不足している」とした上で、「先行者利益を獲得するのは今」と進出を呼び掛けた。
同社はメキシコの工業団地開発大手、リンテル(チワワ州)が展開する9カ所の団地の代理販売を始めた。自動車産業が集積するバヒオ高原で最大の開発業者で、団地は日系や欧米系完成車大手の拠点にも近く、ティア1(1次下請け)も少なからず入居している。
セミナーではすでに進出している部品メーカー、タイガースポリマー(大阪府豊中市)の現地法人、タイガーポリーの村田洋社長が会社設立から操業までの経験を語ったほか、野村総合研究所タイの山本肇シニアコンサルタントがタイとメキシコの自動車産業の比較分析などを示した。
山本氏は「両国とも自由貿易協定(FTA)に基づく自動車・部品輸出のハブとなっており、共通点は多い。タイに進出している部品メーカーはその経験をメキシコでも生かせる」と説明。タイのティア2、ティア3を活用し、メキシコのサプライチェーンを支えられる可能性があると指摘した。
投資は緩めない
日産自動車やホンダなどと取引するタイガーポリーの村田社長はトランプ米大統領の政策について、「明確になるまで静観するしかない。(メキシコでの)自動車生産の伸び鈍化や縮小はあるかもしれないが、完成車メーカーはすでに巨額の投資をしており、サプライチェーンも大きいため撤退はないだろう」との見方を示した。自社も「2~3年先を見据え、投資のアクセルは緩めない」と話した。
セミナーにはメキシコ進出を検討する企業関係者180人余りが参加。カルロス・アルマーダ駐日メキシコ大使も投資を呼び掛けた。