カンパサール
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アジアヒット総研~大衆紙編~ ウケる物にはワケがある
各国・地域のヒットビジネスを紹介する連続企画。今回のお題は「大衆紙」。市民の関心事以外に、その土地のメディア事情も垣間見えてくる?
韓国 『時事IN(シサイン)』
- 発行元:
- チャム・オンロン(真の言論)
- 形 態:
- 週刊誌
- 部 数:
- 約5万8,000部
- 価 格:
- 4,000ウォン(約370円)
- 販 路:
- 定期購読が一般的。他に、一般書店、駅構内のキオスクなど
解説
権力や全ての既得権からの独立を売りとし、調査報道に力を入れている。内容は政権批判一色。ただ、飯島勲氏(小泉純一郎元総理の秘書官)の北朝鮮訪問の背景に日本企業の同国進出があると伝えるなど、同社が言うような「全地球的な視点」から報道しているかは疑わしい面も。
ファンの声
市民からの募金で立ち上げたという創刊背景に共感する。内容は左寄りだとう批判はあるが、最近の社会的イシューを理解する上でとても役に立っている。(30代・女)
中国・上海 『新聞晨報』
- 発行元:
- 上海報業集団
- 形 態:
- 日刊紙
- 部 数:
- 約75万部
- 価 格:
- 1元(約17円)
- 販 路:
- 駅売店、コンビニなど
解説
海で最も読まれているとされる朝刊。独自の社会ネタで多くの読者を引き付けており、交通や事件など駐在員の生活に直結する話題も多い。中国の新聞は堅い内容が大半だが、同紙は「女性の実況中継にネット民散財」など現代社会に焦点を当てた記事も散見される。経済要素は少ないが、上海人の興味を反映してか、株価に絡む話は多い。
ファンの声
・エビ価格の高騰など、多くの上海人が気になるニュースを押さえています(20代・女)
・小さなニュースでも、身近な情報であれば一面で取り上げる、大衆向けな新聞(30代・女)
ベトナム 『トイチェー』
- 発行元:
- ホーチミン共産青年同盟
- 形 態:
- 日刊紙
- 部 数:
- 約42万部
- 価 格:
- 3,700ドン(約18円)
- 販 路:
- 露店、伝統的な個人商店など
解説
ホーチミン市フーニュアン区に本社を置く。もともとホーチミン共産青年同盟の情報紙だったが、国内でも有数の国営紙となった。政治、経済と堅いニュースから、ライフスタイル、娯楽まで幅広くカバーする。オンラインでは、ベトナム語と英語でニュースを配信している。
ファンの声
真面目な記事から三面記事まで幅広く取り上げており、多くの情報を得られるので気に入っている(30代・女)
フィリピン 『アバンテ』
- 発行元:
- モニカ・パブリッシング
- 形 態:
- 日刊紙
- 部 数:
- 約60万3,200部
- 価 格:
- 10ペソ(約24円)
- 販 路:
- コンビニ、書店など
解説
フィリピンで人気のアダルトコラムニストが1988年に創刊した。当初は大人向け記事も多く、男性向けの内容だったが、2000年代に方向転換。アダルトコラムがなくなるなど、全年齢向けの日刊誌となった。現在、読者の6割は女性で、中間所得層や海外出稼ぎ労働者にも愛読者が多い。フィリピンで初めて日曜版を発行したタブロイド紙でもある。
ファンの声
・数独コーナーがお気に入りです(20代・女)
・コラムニストが大人しくなってきたのが不満。事件系の三面ネタが面白い(40代・男)
タイ 『タイ・ラット』
- 発行元:
- ワッチャラポーン
- 形 態:
- 日刊紙
- 部 数:
- 約100万部
- 価 格:
- 10バーツ(約30円)
- 販 路:
- 書店、露店、オンラインなど
解説
1962年創刊のタイ・ラットはタイで最も売れている新聞とされ、トップページの目を引く見出しと好奇心をかき立てる掛け言葉で、消費者の関心を集めている。一面を飾るネタは王室問題や政治、災害、犯罪、殺人、事故、イベント、海外、芸能、迷信、宝くじなど幅広い。一面には自動車事故の被害者や遺体、モザイク無しの犯罪者などの写真も使われ、スタンドで他紙と並ぶと圧倒的に目立つ。
ファンの声
数十年間タイ・ラットを購読しており、他の新聞は読みません。ニュースの量が豊富だからです。読むだけで、あらゆる出来事を知り、他人と議論することができます。最新の広告や映画も紹介しているので、役立っています(50代・女)
シンガポール 『ザ・ニュー・ペーパー(TNP)』
- 発行元:
- シンガポール・プレス・ホールディングス(SPH)
- 形 態:
- 日刊紙
- 部 数:
- 約11万600部
- 価 格:
- 70Sセント(約56円)
- 販 路:
- コンビニ、スーパーマーケット、書店、駅周辺の新聞スタンド、ガソリンスタンドなど
解説
1988創刊のTNPは、シンガポールで発行される英字紙の発行部数でストレーツ・タイムズに次いで2番目に多い。シンガポールのほかアジアを含む海外の社会、ゴシップ、娯楽関連記事、サッカー記事を中心に掲載。ちなみにシンガポールでは主要新聞はすべてSPHが発行している。
ファンの声
ストレーツ・タイムズに比べて小さいサイズで持ち運びに便利。ニュースは比較的簡潔にまとめられていて、多民族国家のシンガポールで文化的バックグラウンドが異なる人同士でも理解しやすい内容。市民が疑問を持つ事柄にも取材や調査などで対応してくれる(30代・男)
インド 『フェミーナ』
- 発行元:
- BBCワールドワイド・タイムズ・グループ
- 形 態:
- 月2回刊行誌(第1、第3木曜日)
- 部 数:
- 約16万部
- 価 格:
- 60ルピー(約100円)
- 販 路:
- 書店、露店など
解説
女性のためのライフスタイルマガジン。ファッションのトレンドからメーキャップ、ヘアスタイルなどを紹介している。恋愛コーナーもあり、恋多き世代にとっては見逃せない。キャリアに関するコラムやお金管理の情報も盛り込んでいる。有名ボリウッド俳優のインタビュー記事や、今話題の映画や本、スポットまで網羅している。版元はミスインドを選出する「フェミーナ・ミスインディア」を毎年開催している。
ファンの声
日常生活に役立つ、興味深い情報が豊富。価格が安いのも魅力だ。ファッションだけでなく、恋愛事情から女性のキャリア情報まで、今のトレンドを知ることができる(20代・女)
ミャンマー 『デーリー・イレブン』
- 発行元:
- イレブン・メディア・グループ
- 形 態:
- 日刊紙
- 部 数:
- 約8万部
- 価 格:
- 250チャット(約23円)
- 販 路:
- スーパーマーケット、書店、露店など
解説
イレブン・メディア・グループは2000年6月に設立。日刊紙を1紙、週刊誌とスポーツ誌をそれぞれ2誌発行するほか、ウェブTVサービスも提供している。11年には国境なき記者団(RSF)から報道の自由賞を表彰された。デーリー・イレブンは13年5月に創刊。主に政治やビジネス、国際関係のニュースを扱い、綿密な取材に基づいた調査報道で知られている。
ファンの声
常に正しく正確な情報を提供してくれます。報道に偏りがなく、大衆の関心に応えてくれます(40代・男)