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EU通関を来年末まで延期 英政府、インフレ加速受け

英政府は28日、欧州連合(EU)離脱に伴い必要となったEUからの輸入品に対する厳格な通関検査の導入を再延期すると発表した。現行の猶予期間は6月末で終了するが、これを来年末まで延長するとともに、こうした検査の必要性自体も見直すとしている。インフレが加速する中、企業のさらなるコスト拡大を回避するため。延期はこれで4回目となり、準備を進めていた港湾業界は、多大なコストが無駄になったと反発している。

7月1日から導入される予定だったのは、新設の「国境管理ポスト」での一部の動植物製品の検疫や現物チェック、EU輸入品の安全性・安全保障申告、EU産の冷蔵肉の輸入制限など。政府は2023年末までこれらを先送りするとともに、その後はデジタル化などにより簡易化された手続きを導入するとしている。新制度は今秋に公表する方針。

英国は2020年1月にEUを離脱。その後の移行期間中はEU単一市場にとどまっていたが、21年1月にはこれも離脱した。EUはこの時点で、英国からの輸入品に対する厳格な通関検査を導入したが、英国は物流の混乱やコロナ禍の打撃回避を理由に、これまで3度にわたり導入を延期していた。

英政府は今回、「ロシアのウクライナ侵攻や世界的なエネルギー価格高騰により、コロナ禍からの回復途上にある供給網が多大な打撃を受けている」と指摘。こうした中で新たな通関手続きを導入すれば、小売価格にコストが上乗せされ、家計にさらなる負担を与えることになると説明している。

これに対し、英港湾協会は「多くの国内港は通関検査に備え、国境管理ポストの設置を進めていた」とし、急な方針転換により、多大な努力と民間・公共の多額の資金が無駄になったと非難している。

また、最大野党・労働党のヒラリー・ベン下院議員は、今回の措置はEU離脱が企業のコスト高につながることを認めるものと指摘。「EUからの輸入が英国からの輸出より優遇される異例の事態は、お粗末な離脱協定がもたらした貿易障壁を浮き彫りにしている」と批判している。[EU規制]


関連国・地域: 英国EU
関連業種: マクロ・統計・その他経済

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