2018年10月25日
アジアで内部リスク対策を、現地法人の「見える化」がカギ

地域を元気にするふるさと納税が注目されているが、海外赴任の前にふるさと納税を検討している人も多いのではないだろうか。今回はそんな海外赴任の予定者がふるさと納税する場合の注意点と、ふるさと納税サイト「さとふる」がおすすめする、新潟県のワイン製造・販売会社のレスカルゴを紹介する。

まずは仕組みをおさらい

「納税」という言葉が使われているが、実際には都道府県や市区町村への寄付のこと。自治体へ寄付を行い、確定申告やふるさと納税ワンストップ特例制度申請をすることで、寄付の金額に応じて所得税の還付と住民税の控除が受けられる。控除上限額の範囲内であれば自己負担額の2,000円を除いた全額が対象となる。自治体によって地域の特産品などが寄付に対するお礼の品として用意されており、実質2,000円でお礼品を通じて地域の魅力を知ることができる。原則として、寄付金控除を受けるためには、ふるさと納税を行った翌年に確定申告かふるさと納税ワンストップ特例制度申請を行う必要がある。

「ふるさと」という言葉がついているが、寄付ができるのは、自分の出身地や本籍がある地だけではない。全国どこの自治体にも寄付ができる。お礼品のラインナップは幅広く、特産の食料品、旅行券、工芸品など、その土地の魅力を味わえる。例えば、地域の特産品でいくらやブランド牛を堪能することもできる。

複数の地域に寄付をしても、自分の控除上限額の範囲内であれば、年間の寄付の総額に対して自己負担が2,000円となる。控除上限額は収入や家族構成によって異なり(課税所得に応じて実質負担が2,000円以上になる場合がある)、控除上限額の目安は、総務省のふるさと納税ポータルサイトや、ふるさと納税サイトなどで確認できる。

海外赴任前には注意が必要

海外赴任を控えた人が赴任前にふるさと納税を行う場合、ふるさと納税の実施と出国のタイミングに注意が必要だ。ふるさと納税によって、所得税の還付と住民税の控除が受けられるのは前述の通り。このうち住民税は、出国する時期によって控除を受けられない場合がある。

住民税は、1月1日時点で住所のある市区町村において、前年中の所得に対して計算される税金であるが、ふるさと納税の控除対象となるのは、寄付した翌年の住民税となっている。そのため、ふるさと納税を行った年に出国して翌年の1月1日時点で非居住者になる場合は、控除対象となる年に住民税が発生しないため控除を受けることができない。

例えば、海外赴任を予定している人が2018年中にふるさと納税を行ったとする。住民税の控除が受けられるのは翌19年分となる。18年12月31日までに出国する人は、19年1月1日時点で非居住者となり19年分の住民税は発生しないので、控除の対象にならない。一方で、19年1月1日以降に出国する人は、19年分の住民税から控除を受けることができる。

参照元:さとふる 税控除のよくある質問
https://www.satofull.jp/static/faq/details.php?id=44

実際の寄付は、ふるさと納税サイトを通してすることができる。その1つ、「さとふる」をのぞいてみた。画面が見やすく、完全スマホ対応、決済方法の多彩さなどが人気のふるさと納税サイトだ。寄付したい土地から選ぶだけでなく、お礼品の人気ランキングや、お礼品の種別から選んでいくこともできる。

地元企業の活力にも

「自治体への寄付」は、自治体だけでなく、お礼品となる特産品などの生産者の活力となっている。ふるさと納税サイト「さとふる」を通し、事業を伸ばしているのが新潟県でワインの製造と販売を手掛ける「レスカルゴ」だ。同社は、新潟県弥彦村のふるさと納税のお礼品として、地元のブドウを使ったワインを提供している。フランス語でカタツムリを意味する社名には、ゆっくり地を這うカタツムリのように地道にワイン造りの道を行くという姿勢と、カタツムリが住めるような健康的なブドウ畑を作りたいという想いが込められている。

同社は、07年にシャルドネ、ピノノアールという2品種のブドウを植樹し、12年からワインの製造を開始。現在は、カベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ブラン、日本固有種のマスカットベイリーA、巨峰などの生食用ぶどうでのワイン製造も積極的に行っている。年間約1万本のワインを製造し、シンガポールなど海外にも輸出している。佐渡弥彦米山国定公園の一角を成す角田山の豊かな自然と、太陽光と潮風に抱かれて育ったブドウから作られるレスカルゴのワインは、余計な添加物は使われていない。新潟の海と山の風味をそのまま届けるような豊かな味わいが特徴だ。

「ふるさと納税のお礼品になったことで、『行政が認めたのだから、良いものだ』と思われ、従来以上に商品への信頼が増した」と語るのは代表取締役の阿部宗記氏。阿部氏はもともと新潟に所縁があったわけではない。ワイン造りの中で、地域の温かい縁に助けられたという。レスカルゴのワインに使っているマスカットベイリーAは、地元の石川ぶどう園から仕入れている。ぶどうの実に直接農薬がかからないように、全て袋で包んで育てていることがこだわり。石川ぶどう園から紹介された、20代で新規就農した若手のぶどう農家からも仕入れている。自分たちのワインを通じて、若手からベテランまで地元のぶどう農家にスポットが当たることで、地域に恩返しができていることが嬉しいという。

株式会社レスカルゴ 代表取締役 阿部宗記氏

株式会社レスカルゴ 代表取締役 阿部宗記氏

幼少期を香港で過ごした阿部氏は、ワイナリーの設立前から香港など海外での販路開拓に着手し、今も続けている。海外の取引先から新潟の日本酒や和牛も購入したいという声が寄せられたことから、他社の製品も扱えるよう輸出入の免許も取得した。

今後はアジアだけでなく、ヨーロッパでのワインの販売も計画している。「海外で販路開拓を自ら行っている日本のワインメーカーは、まだ少ない」と言う阿部氏。現地に行き、現地の人と触れ合い、ワインの感想を直接聞くことが楽しみになっている。阿部氏はこうした海外営業を通じて、他の産業と同様にワインメーカーも若年層が多い海外に販路を求めていくことが必要だと感じている。

思いを託す寄付

レスカルゴの店内。ここでワインの試飲・販売を行う

レスカルゴの店内。ここでワインの試飲・販売を行う

「寄付して終わり」ではなく、その使い道を選べるのが、ふるさと納税の大きな特徴。「さとふる」の申し込みフローにしたがって入力していき、申込手続きが終わると、寄付金の使い道を指定できるページが出てくる。自分の寄付金の用途が具体的にイメージできることで、その地域のことを一層知りたくなり、まだ訪れたことのない土地だったら、きっといつか訪れたくなるだろう。

生まれた土地で育ち、生涯暮らし続ける人もいれば、故郷とはすっかり縁遠くなってしまう人もいる。一方で、仕事や家庭の事情で一時期住んだ土地に、時間が経っても思い入れがあるという人もいるだろう。自分の故郷や、ゆかりのある土地などに寄付という形で応援できるのがふるさと納税なのだ。

「さとふる」では、季節やテーマによってさまざまな特集を組み、地域や特産品の魅力、生産者の思いやこだわりなどを発信している。読み物としても楽しいし、ふるさと納税した土地を訪れたりイベントに参加する「体験型のお礼品」などにも興味が広がるだろう。日本というふるさとの多彩な魅力に気づくきっかけになるかもしれない。

ふるさと納税サイト「さとふる」
さとふるがお届けする地域情報サイト「ふるさとこづち」
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