ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

NNA_kanpasar_vol.25

6 KANPASARウラジオストクNEXTアジア 現地ルポ②ロシアの東アジア玄関口存在感示す日系商品成田から飛行機でわずか2時間。こんなところに「次のアジア」があった。ロシア極東の都市ウラジオストクは、町並みは完全にヨーロッパだが、中国や韓国、日本に近いことからアジアの商品が身近な市場だ。その中でも日系商品は品質の高さが評価され、ビールからインスタント食品、トイレタリーまでさまざまな分野で存在感を示していた。文・写真 カンパサール編集部 大石秋太郎スーパードライをジョッキで提供する飲食店も多い。ホテルに併設するカフェでもスーパードライを扱っていた。「爽やかなスパークリング」「辛口」を売りにしているプレミアム市場で認知度ばっちりアサヒビール「アサヒスーパードライ」は、ウラジオストクを含む極東ロシアで最も知られている日本ブランドの一つといえるだろう。アサヒビールは1998年からハバロフスクを通じてビールを輸出。輸出事業の範囲はウラル山脈より東側のアジア・ロシア※だが、主な市場はウラジオストクを中心とした極東地域だ。スーパードライは350ミリリットル缶、500ミリリットル缶、小~大びん、10リットルたるなど、幅広いラインアップを展開している。ウラジオストクのスーパーマーケットでは、ほぼどこでもスーパードライが売られている。アサヒビール経営企画本部国際部の深山清志部長は「プレミアム市場で日系ビールの中では非常に高いシェアを維持している。極東はもともと日本の製品が普及し、理解度が高いため、日系商品にファンが付く環境が整っている」と話している。 同社はウラル山脈以西の欧州ロシア※では異なる事業戦略を展開。2008年には地場大手バルチカとライセンス契約を結び、現地産のスーパードライを販売している。ただ、欧州ロシアは競争が激しい上にアジアの商品が身近ではないため、「アジアロシアとは市場が全く異なる」(深山部長)。ここ数年は欧米諸国からの経済制裁やルーブル安を背景とした消費の弱まりが響いているが、今後の日露関係の改善などが進めば、ロシアでの日系ビールは伸びる余地が大きいと同社はみている。世界大手チェーンの進出まだまだウラジオストクには欧米の大手消費チェーンの進出があまり進んでいない。現在、市内に出店している国際的なブランドチェーンは、米バーガーキングやスペインのザラ、フィンランドのヘスバーガーなど一部に限られる。ロシア極東地域の最大都市とはいえ、首都モスクワからは約9,000キロメートルも離れていることから、欧米の企業だけでなく、モスクワの企業の進出も多くないようだ。バーガーキングは、ウラジオストクに進出する外資大手チェーンの代表格だ。ラッピングバスも走らせるなど力を入れている目抜き通りにはスペインのファストファッション最大手インディテックスが展開する、ザラが出店した見覚えがあるような黄色いロゴ。ケバブなどを売るキオスクだった。マクドナルドは進出していない浸透する日系企業最新かつ最大のSC「セダンカ・シティー」ウラジオストクの中心部から北へ約10キロメートルの自動車専用道路沿いに今年7月、新しいショッピングセンター「セダンカ・シティー」がオープンした。総面積は9万4,000平方メートルで、ウラジオストクでは最新かつ最大の複合商業施設だ。100以上の店がテナントとして入居できるが、取材当時はまだ半分くらいがオープン予定の段階だった。スーパーマーケットのほか、家電量販店や衣料ブランドのショップ、フードコートなどが入居する。特に必見なのは地下の広大なスーパーで、生鮮食品から加工品、酒類、輸入品、トイレタリーといったそれぞれの売り場が大きい。必ず行きたいウラジオストクのスーパーでは、ほぼどこでもアサヒビールの商品が買える。「アサヒスーパードライ」のほか、黒ビールの「ドライブラック」、発泡酒の「アサヒ本生アクアブルー」。ロシアでは「発泡酒」の区分が無いため、いずれも同じ価格(500ミリリットルで139ルーブル=約220円)だった日本海中国ウラジオストクハバロフスク※ロシアはウラル山脈を境に欧州部分とアジア部分に分けられる。西側の欧州ロシアはロシア全人口の8割近くを擁する地下のスーパー1ルーブル=1.58円(9月8日時点)