ブックタイトルNNA_kanpasar_vol.24
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NNA_kanpasar_vol.24
KANPASAR 19際には手をかけているけど、ナチュラルに見せる。これを実現できるのが、日本の化粧品と美容技術です」─。アジアで活躍するフリーランスのヘア&メーキャップアーティスト、猪久保悟(いのくぼさとる)さんは語る。ブライダル向けのヘアメークアーティストとしてキャリアをスタートさせた猪久保さんは、2001年からフリーランスとなり、雑誌や広告向けにモデルやミュージシャンのヘアメークを手掛けるほか、メーキャップ講師やコメンテーターとしても活躍している。海外へは、台湾に年2 ~ 3回、マレーシアに年2回、それぞれ定期的に出張するほか、ベトナムやインドネシア、シンガポール、香港などに赴くこともある。海外出張は、カネボウ化粧品の新商品のプロモーションに合わせた業務が主だ。中国語や英語を駆使しながら、百貨店の美容イベントへの出演や、カネボウのアジア拠点の美容部員へのトレーニング、新商品のイメージ広告向けのヘアメークなどを行う。猪久保さんによると、日本製の化粧品は高い品質が強みで、ファンデーションを例に挙げれば、「くすみなどの悩みをカバーできる一方で、厚く見えずに透明感がある仕上がりになる」という。しかし、美しくなるにはメーキャップの技術も必要で、商品の正しい使い方を教えるのが猪久保さんの仕事となる。例えばベースメークの場合、くすみやクマ、シミといった消費者の悩みや肌質によって適切な商品や塗布量、使用する順序が異なってくるため、メーカーが推奨する使い方を伝える。また、肌の色やファッションのトレンドが日本と異なるアジアでは、それぞれの国の女性を輝かせるための的確なアレンジも必要になる。アニメやキャラクターなどサブカルチャーの世界で、日本的な「kawaii(カワイイ)」がアジアでも親しまれているが、美容の世界でも同じだ。猪久保さんによると、日本的な美容とファッションは、やや力が抜けたような軽やかさがある「抜け感」や、ちょっとしたくずしを入れて自然に見せる「こなれ感」が特徴で、それが他の国と異なる。例えば編み込みヘアの場合では、髪をしっかり編んだ後に適度にほぐして、抜け感やこなれ感を出す。メーキャップもヘアメークも「頑張っておしゃれしました」といった感じを出さず、さらりと自然にかわいらしく演出するのが日本風だ。こうした技は、顔立ちが近いアジアの女性にも「カワイイ」と映るようだ。日本の高品質の化粧品や先端の美容技術を伝える猪久保さんだが、逆に新鮮な情報に出会うこともある。「アジアでは必ず面白い発見がある。これらが交わった時に、真のアジアンビューティーが生まれていくのだと思います」(文・大石秋太郎)日本の美容をアジアに「カワイイ」「ナチュラル」を伝えるヘア&メーキャップアーティスト猪久保 悟雑誌や広告で多くのモデルやミュージシャンのヘアメークを手掛けるほか、メーキャップ講師、ビューティーコメンテーターとしてメディアに出演するなど幅広く活躍中2015年のミラノ万博ではクールジャパンコンテンツとしてヘアメーク作品を出展中国語と英語が堪能な事から、アジア各国から頻繁にオファーがあり、アジアンビューティーの架け橋としても活動する下記はフェイスブックページURL:https://www.facebook.com/hairmakeSatoruInokubo/①カネボウのブランドのイメージ広告向けに、マレーシア人女性のモデルにメークを施す猪久保さん②カネボウの化粧品を紹介するページを掲載したマレーシアの有名美容雑誌。猪久保さんがモデルのメーキャップを手掛けた③ベトナムの百貨店で行われた美容イベントの様子??? ??「実⑤昨年のミラノ万博における日本館第2の拠点「ジャパンサローネ」で展示された作品。和紙メーカー、アワガミファクトリー(徳島県吉野川市)の手すき和紙にプリントした写真で、モデルのヘアメークは猪久保さんが担当した④猪久保さんの仕事道具。ヘアメークに使用するホットカーラーやアイロンなどNIPPON NO WAZA※写真は全て本人提供