ブックタイトルNNA_kanpasar_vol.23
- ページ
- 11/24
このページは NNA_kanpasar_vol.23 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは NNA_kanpasar_vol.23 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
NNA_kanpasar_vol.23
KANPASAR 11いる商品と同じ物をアジアで売り、ブランドイメージと商品の品質を高く保ちたいですね。それらをアジアへ横展開するだけでも一定の基盤はできると思います。車に例えるなら、(トヨタの)レクサスをまず売る。ほかのブランドはそのイメージが定着した後に展開するという戦略です。やたらと数を追求するわけではありません。ブランドイメージや知名度向上のため、中国のマラソン大会でのスポンサーを検討しています。インドのムンバイマラソンではオフィシャルスポンサーですし、台湾ではナイトラン(夜のジョギング)イベントなどを続けています。もちろん、イメージ向上につながる人気選手やチームがあればスポンサー契約も交わしたいですね。アジアでのスポーツマーケティングはこれから強化していきます。東京マラソンではオフィシャルパートナーを2007年から務めていますが、日本でのイメージはだいぶ向上したと思います。スポーツのアシックスただ、ブランドイメージはやはり「スポーツのアシックス」を強調したいですね。カジュアル面ではなく。安全にスポーツをするためにサポートする、これを履くとスピードが出しやすい、ラグビーのウエアだったら相手からつかまれにくく、ボールをキャッチしやすい─。やはり機能面ですね。オニツカタイガーが売れているのはいいのですが、やはりファッションですから移り変わりがあります。それよりも、アシックスのブランドのことをカジュアル的なイメージで言われるのは避けたいところです。ここ30年ほどのスポーツ用品のブランド、特に米国を見ていると、カジュアルに力を入れて売り上げが伸びた後、本来のランニングや陸上のスパイク、サッカースパイクなどに戻ってこないんです。信じないんですね、プレーヤーがそのブランドを。だからスポーツブランドとして永続的に力を入れていかなくてはなりません。中国では10年ほど前まで、アシックスのブランドは一般にはあまり知られていませんでした。でもスポーツ団体の幹部たちは現役時代、ナショナルチームの遠征で日本に来た時にアシックスタイガーを買っていた。だからいい靴であることは分かっていました。私たちのブランドの本分である「スポーツ」を大事にし、常に最高品質の商品を出していくことはとても重要です。流行に迎合して販売数だけを追い求めるようになると、万一、落ちてきた時になかなか上がることはできません。アジアにも人気波及直営店やブティック、セレクトショップなどでの販売にチャンネルを絞るオニツカタイガー。欧米での人気はアジアにも波及し、インバウンドの波にも乗ってアジアからの客が増えている東京にある旗艦店のオニツカタイガー表参道は外国人客が多いですね。12年のオープン当初からすでに3割ほどが外国人だったのですが、どちらかというと首都圏在住の欧米系が中心でした。しかし今はアジア系も急増しています。統計を取っているわけではありませんが、アジア系では中華圏や韓国からが目立ちます。一番多いのはタイ人でしょうか。有名人や芸能人らが愛用し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で人気が広がっているようです。実際、タイ人客からは「デザインが美しく、履き心地が良い」などの声をいただいています。現地では流通網が未整備ということもあるのでしょう、タイでの価格は日本の1.5倍ほど。日本に来るとなると、家族や知人などから買ってくるように頼まれるそうです。平均2 ~ 3足で、5 ~ 6足買う人もいます。12年にシンガポールでアシックスアジアを立ち上げました。今はアジア事業の統括本部的な役割を担っています。設立時にシンガポールに行った時、街角で5人組の若者を見かけました。彼らはタイ人で、かっこいい身なりをしている。履いているのはオニツカタイガー。シンガポールで探して買って、これから東京へも買いに行くと言っていました。思えば、その頃から予兆はあったようですね。昨年は訪日外国人数が約2,000万人に達しました。13年に1,000万人を超えてからわずか2年で倍増です。東京オリンピックも控えていますし、これからもっと増えるでしょう。インバウンド向けには「メード・イン・ジャパン」をアピールしたいですね。鳥取県境港市にある山陰アシックス工業の生産能力を拡張したいと考えています。また、環太平洋連携協定(TPP)が広がっていくと、関税面での壁は低くなるので、日本で作った製品をアジアに輸出したい考えはあります。アジアではこれから所得水準に上がるにつれ、スポーツ人口も増えるでしょう。私たちのブランドがより広く受け入れられるようにしたいですね。(聞き手・中村正)水泳とウオーキングが趣味。出張に行く時は必ず競泳用のスイミングパンツとゴーグルを持って行きますね。日本ではいつもプールのあるホテルに泊まり、海外でも半分ぐらいはそうです。ただ、なかなか時間がないのが悩みで、代わりに行うのがウオーキング。昔はセールスマンでしたから、デパートの売り場や店舗を回るためによく歩いていました。今は当時よりも歩かなくなっていますが、ウオーキングはどこでもできます。オフの横顔アジアのスポーツ人口 これからも増える戦国時代の刀剣や鎧(よろい)、兜(かぶと)などオリエンタルをイメージしたデザインの「アシックス」ゲルカヤノ11(2005 年発売)アシックスの男性用スイミングウエアやゴーグル(同社提供)買い求める外国人客が多いオニツカタイガーの「ニッポン・メード」。その中でも一、二を争う人気のメキシコ66 デラックス(NNA 撮影)オニツカタイガー表参道。取材した日もアジア人を中心とする外国人客が多かった(NNA 撮影)日本の技