ブックタイトルNNA_kanpasar_vol.22
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22 KANPASAR遊ぶ心はアジアも同じユーザーが求めるのは“本物”今期は3つの事業分野がそれぞれ特長を生かして、いいスタートが切れました。トイホビーの分野ではアジア地域、特に韓国を中心に定番の『スーパー戦隊シリーズ』の関連商品がヒットしています。加えて、2014年にブレークした『妖怪ウォッチ』の商品がアジアでも評判がいい。『機動戦士ガンダム』もガンプラ(ガンダムシリーズのプラモデル玩具)がハイペースで海外に浸透し始めました。ゲームが中心のネットワークエンターテインメント事業は、前期に発売した『ドラゴンボール』の家庭用ソフトが欧米で大ヒットし、今上半期には累計270万本まで伸びました。300万本に迫るのは、近年なかなか到達できなかった数字です。映像音楽プロデュース事業では、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』というガンダムの敵側であるシャア・アズナブルの誕生秘話を描いた作品が好調です。14年に大ヒットした『ラブライブ!』も好調が15年も続いており、勢いがあります。15年10月に始まった『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』というガンダムの新作は245の国・地域で同時配信しています。オリンピックの参加国数よりも多いそうで、驚くほどの規模です。実際の視聴は中国をはじめアジア諸国が大部分で、やはりアジアの力は大きいなと思います。われわれが恵まれているのは、日本のIP(作品やキャラクターなどの知的財産)に対するアジアの方々の受容度の高さです。スーパー戦隊シリーズ、ガンダム、ドラゴンボールといった人気作の傾向は国内もアジアもほぼ同じです。作品を見たい、グッズが欲しい、イベントに参加したいというニーズも高まっています。何となくですが、アジア人に共通するオリエンタリズムというか自然観みたいなものが作品や商品から伝わり、受容度の高さにつながっているのではないでしょうか。日本の少子化は玩具業界では随分前から言われてきましたが、それを事業の弱点とはみていません。アジアでは子供が多いことに加え、昔からガンダムやドラゴンボールが好きだったという大人のユーザーがすごい勢いで増えています。大人になると関連イベントへの参加など、子供だった頃とは違った楽しみ方をするようになります。われわれが意図するまでもなく、自然発生的にニーズが高まってきたのです。バンダイナムコとしては、まずは日本のIPを商品を通じてアジアに紹介する役割があります。配信のみならず、イベントやマーチャンダイジング(商品展開)も含めて幅広く立体的に広めていきます。日本の正規品が欲しい海外ではディズニーやハリウッド映画といった競合の存在、海賊版の横行など乗り越えねばならない壁は多い。だが、当のアジアのユーザーたちはあくまで「日本の本物」を求めているのだという日本で売っている正規品、メードインジャパンが欲しいという声がアジアでも圧倒的です。食品や家電といったコモディティー商品のように現地の習慣に合わせてアレンジしていくことは、あまりないですね。ですから、アジアでも日本の商品をそバンダイナムコホールディングス代表取締役社長田口三昭たぐち・みつあき1958年生まれ、57歳。明治学院大学法学部卒業後、バンダイ入社。ベンダー事業部部長、常務取締役、専務取締役、代表取締役副社長などを経て2015年6月より現職。趣味はゴルフ、野球、登山、ボートで11年に1級小型船舶操縦免許を取得。座右の銘は特にないが「自分らしくを心がけている」というトップは語るTop InterviewPhoto by Osamu Mizutaライダーベルト、ガンプラ、妖怪メダル─きら星のごときヒーローグッズやゲームに日本中の子供が夢中になってきた。いま、ガンダムの最新作は五輪の参加国数も超える世界245の国・地域で楽しまれているというから驚く。アジアで愛されるジャパンホビーの神髄とは。