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概要

NNA_kanpasar_vol.20

22 KANPASARトップは語るTop Interviewホテルオークラ代表取締役社長荻田敏宏おぎた・としひろ1964年生まれ、50歳。慶應義塾大学商学部卒業、米コーネル大学ホテル経営学部修士課程修了。ホテルオークラ入社後、事業部長、執行役員、取締役などを経て、2008年に代表取締役社長に就任し、現職。43歳という若さでの就任で話題となった日本のホテル御三家の一角、ホテルオークラが海外展開を加速している。特にアジアでは欧州との境であるトルコに運営子会社を設立し、日系ホテル初の進出を計画。大アジアの一円に拠点を拡大している。日系他社で同様の規模の進出は例がない。同社が見据えるアジアのホテル市場、その未来像とは。Photo by Tadashi Kumagai現在、計画段階も含め国内49、海外31のホテルを運営しています。海外は約4割。5年前は国内7割弱、海外3割ほどでしたから、数年の間にポートフォリオが変わり海外比率が増してきた状況です。近年アジアで開業したホテルは業績が好調で、想定以上にうまくいっています。オープンして数年たつのはマカオ、台北、バンコクですが、マカオは2011年に開業し、3年目の稼働率が97%。台北も12年に開業して2年目で92%。ホテルの開業1~3年目の稼働率は一般に65~75%ほどで推移しますので、想定よりもはるかに高いパフォーマンスです。12年開業のバンコクは残念なことに、クーデターの影響で14年の上半期(1~6月)の稼働率は46%と著しく低迷しました。しかし、下期は78%と市場平均の約60%を大きく上回る水準まで回復しています。今年通年では80%を確保できると思います。ホテルの業績としてはAクラス入りと評価できます。ありがたいことに、お客様からも高い評価を頂いています。アゴダ(ホテル予約サイト大手)によると、ラグジュアリーホテルマーケットにおいて台北は市内トップにランクされ、バンコクもマンダリンオリエンタル、ペニンシュラと並びトップ※。トリップアドバイザーでは台北はトップ、バンコクはマンダリンオリエンタルに次ぐ2位になっています。アジアへの進出は長年意識してきました。日系ホテル企業にとってアジアは、人口規模が大きく所得成長の潜在性が高い有望な市場です。戦後の日本がたどった歴史を踏まえて今後の動向を予測しやすい。日本と地理的に近いからインバウンドとの相乗効果も期待できます。※今年6月1日時点また何といっても土地代、建築費、人件費が安い。客室価格はさほど変わらないので、相対的に高い利回りが見込める。アジア主要都市のトップマーケットで日本人の宿泊比率は2~5割に達しますから、その点で優位性もあると思います。オークラも経済成長期は一定の海外進出を進めてきましたが、バブル崩壊で国内経済が悪化した1990年代に海外事業をほとんどストップしました。その後、会社の財務体質の改善が一段落した2002年くらいから再開しようという方針になり、本格的に動いています。ブランクもあって時間はかかりました。台北は02年に案件に着手してオープンまで10年。バンコクも03年頃から検討を続け、09年に新しい事業がようやく浮上してそれが実現した。この十数年、取り組んできた活動がいま実りつつあるという状況です。かつて、バブル期までに多くの日系ホテルが海外進出し、やがて撤退しました。その要因は大きく3つあると思います。1つは日本のコピーをそのまま持っていったこと。2つ目は進出先の競合ホテルに対する優位性や差別化を図れなかったこと。3つ目は海外の業績は悪くないけれども日本国内の経営が悪化して撤退したパターン。これらがうまくいかなかった理由ではないかと考えています。海外事業に本格的に取り組むにはどう考えていけばいいのか。まず、本店の営業とチェーン運営を切り離すことが大切です。似ていても、やはり異なる事業ですから。それから、地域性に応じた商品のラインナップをそろえること。競合ホテルに対する優位性を保てるか、それを念頭に置いた開発が必要です。日本のトップホテルアジア最高級に自信