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概要

NNA_kanpasar_vol.20

14 KANPASARローカライズ、ニッチ、BOPアジアへ進む、日本ブランドアジア各国地域で異なる衛生習慣を研究し、現地仕様に落とし込むローカライズ商品。オンリーワンの技術で日常生活の隙間に入るニッチ商品。そして感染症の危険と隣り合わせで暮らす貧困層を支える商品。大小の日系企業が技術力やマーケティング力を駆使して開発した衛生商品を解説しながら、アジア各地のニーズを探る。PRODUCT1フロアマジックリン花王タイル床専用の洗剤速乾性、甘い香りを重視花王の床用洗剤「フロアマジックリン」は、タイでシェア6割を占めるヒット商品だ。同国の住宅に多いタイル床に対応させて速乾性を高め、タイ人が好む甘い香りを取り入れている。また住環境の向上で新たな床材に適した新商品も8月に発売する。素足でもべたつかない快適な床を訴求し、足と床のイラストを採用。ピンクや赤といった明るい色が好まれ、両色のボトルが売れ筋だという(花王提供)Insight 1素足の感覚を大切にタイでは経済成長に伴い、1990年代から硬質のタイル床の住宅が増加。掃除はモップがけが主流だが、床用の洗剤は普及していなかったことから、1997年に同商品を販売した。タイの生活習慣として、室内では素足で過ごし、ひんやりしたタイル床を好む人が多い。ファブリック&ホームケア事業ユニットの野島史絵氏は、「素足の感覚は、日本人が思う以上に敏感で大切にすべきポイント」という。以前の消費者調査で、モップがけをした後、乾く前に子どもが歩いてべたつくので、扇風機で乾かしているといった声もあった。そこで2008年に速乾性を高める成分に改良し、素足の感覚がより快適に感じられるようにした。その結果、大幅な売り上げ増につながった。Insight 2掃除後も香り楽しむユリ、ベリー、バラなど6種類ある香りも特長だ。日本ではレモンなどフレッシュな香りクリスタルシャインは高級感にこだわった。香りはパフューマリー・ダイヤモンド、パフューマリー・ゴールドの2種類(同)が使われるが、タイ人は甘い香りを好む傾向があり、種類を増やしてきた。さらに掃除後も香りを楽しみたいという要望に応え、13年には香り成分を2割増やしている。Insight 3上質床をきれいに保つ8月には新商品「クリスタルシャイン」を投入。光をより反射できる成分を加え、掃除するたびに床が輝くことを訴求する。近年タイの新築住宅では、より光沢度の高いタイル床が増えており、住環境の変化に伴うニーズを取り込む狙いがある。香りも香水のような高級感を持たせ、ボトルはダイヤカットに仕立てた。野島氏は「おしゃれできれいな家を保ちたいと考える人が増え、床掃除をより重視するようになっている」と話す。PRODUCT2アタックJaz1花王PRODUCT3エッセンシャル花王中間層の洗濯を変える頑固汚れもつけ置き5分パンチマークで洗浄力を強調するなどアイコンを活用(花王提供)多様な「美髪」意識反映べたつき解消、香り持続花王がインドネシアで販売する洗濯洗剤「アタックJaz(ジャズ)1」は、ターゲットをマーケットの5割を占めるとされる中間層(月収150ドル程度)に絞った商品だ。高い洗浄力ながら手頃な価格での提供を実現し、昨年6月の発売以来、1年で洗濯洗剤市場のシェア5%を奪う快進撃を見せている。Insight 18割がクリーム洗剤を併用ヒットの背景には、2,000人以上に洗濯の調査をして導いたインサイトがある。同社によると、インドネシアでは手洗いで洗濯する人が約7割で、手洗いの前につけ置きする人はほぼ100%だった。洗濯機は普及しているが、機械洗いによる洗浄力への懸念、色物と白物や子ども服と大人服を分けて洗う習慣などがあり、手洗いの方が効率的と考える人が多いのだ。また中間層に関しては約8割の人が、手洗いの時にクリーム洗剤を併用していた。廉価な洗濯洗剤ではインドネシア特有の頑固な汚れを落とし切れないためだ。子どものためにきれいに洗濯したいを割性ジやが。ャめク同ズたリ商かー品1で減ムの洗ら洗使濯し剤用をたの者す(併のる同用女)7と考え、1時間半以上かける女性も多かった。こうした習慣を分析し、洗浄力に重点を置いて研究。5分のつけ置きだけで汚れ落ちが実感でき、クリーム洗剤不要の商品コンセプトにたどり着く。Insight 2「目立つ」「ベタ感」で販促販売チャネルは中間層が利用するワルン(雑貨店)やパサール(市場)が中心。使い切りのサシェット(小袋)は、1袋1,000ルピア(約9円)で地場の競合と同額に設定した。縦長が多い小袋をあえて横長にし、赤と白を使ったパッケージは、薄暗いパサール内で目立たせるためだ。またテレビCMも中間層がよく訪れるカーニバル(移動遊園地)を取り入れた。「ベタな設定だが、このベタ感が受けた」(ファブリック&ホームケア事業ユニットの飯島誠司シニアマーケター)。購入者は狙い通り中間層の家族世帯が多いといい、飯島氏は「たくさんの声を聞き、愚直に反映させたことで、シンプルだが優位性のある商品にできた」と話す。花王はロングセラーのシャンプー「エッセンシャル」を、昨年大幅にリニューアルした。アジアでは台湾、香港、シンガポール向け商品を改良。同商品は20~30代の女性をターゲットにしており、ヘアカラーの使用状況や洗髪頻度など、生活習慣の違いに基づく「美髪」意識を反映させて、商品ラインナップを増やした。Insight 1質感より見た目を重視今回の改良では、髪の根元から毛先まで均一に補修成分を吸着させる技術の開発によって、髪への指通りを改善した。さらにアジア向け商品には(1)髪の傷み意識は高いが、実際の傷みレベルは日本ほど高くない(2)台湾などでは洗髪頻度が週5~6回(3)髪がべたついて束になることを嫌う─など、洗髪習慣の違いや見た目を気にする意識を取り込んだ。その結果、ケア効果と清潔感の持続を両立したクレンジングケアタイプを開発し、これまでの3種類から4種へ増やした。アピト台ピー。湾ーを商でル「品行し均のった一キた(髪販同」ャ促)とッイしチベてコン、アジア限定商品にも「日本品質」を示す意味で、日本語のキャッチコピーを考えている(花王提供)Insight 2速乾性訴求はハードル一方、日本で発売した「速乾タイプ」のアジアへの投入は見送った。「日本に比べて髪を完全に乾かす人が少なく、速乾に対する驚きがなかった」(ビューティケア・スキンケア・ヘアケア事業ユニットの安江晋太郎シニアマーケター)ためだ。香りに関しては、日本と3カ国地域で好みに大きな違いはない。ただ、アジア向け商品は、消費者の要望により洗髪時の香りが長く続くよう調整してある。細分化したニーズに加え、欧州系のオーガニック商品が増えるなど、東アジアのシャンプー市場の競争は激しさを増している。こうした中、台湾では改良後にシェアを1ポイント伸ばして5%を超えた。7月以降には、洗い流さないトリートメント「CCオイル」を台湾から順次アジアへ投入し、ブランド強化を図っていく。