ミャンマー農業ビジネス③ 農業機械のマーケット概況

2018年3月7日

グローバルリサーチグループ

シニアリサーチャー 八幡 茜

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ミャンマーの農用地の規模は、他の東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国と比較してみても決して小さくはない。しかし、コメの輸出額でみると、ベトナムのおよそ10分の1となっており、生産性が極めて低いことがわかる。

主な理由には、灌漑用水路の開発、種子の品質管理、肥料や農薬の適切な使用、農業機械(農機)の普及、このいずれも未発達であることが挙げられる。

使役動物と季節労働者が担ってきたミャンマーの農業であるが、近年はさらに農業従事者の減少が傾向としてみられ、農業の効率化と機械化は喫緊の課題とされている。

普及状況

農機の普及率

かつてはミャンマーの工業省がエンジンポンプや耕運機などを生産していたが、現在ある二つの工場は、提携する民間企業を模索しているといった状況にある。

中国製の耕運機を中心に機械化の兆候がみられるものの、役牛などによる伝統的な農法は未だ広く行われている。

政府統計データを用いて算出すると、耕運機の普及率は全国で約3.6%と非常に低い。

一方、割賦販売が本格的に始まったことで、富裕農家がトラクターやコンバインなどの大型農機を買えるようになってきている。

ヤンゴンにおけるスペック別の耕作機械普及台数

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工業省が生産していた農機

農作業請負業の存在

農機を所有する農家は自家使用のほか、周辺農家の田畑を耕作するサイドビジネスを行っている。

農作業の請負には様々なパターンがある。機械オペレーションの提供が一般的であり、個人間での契約が多いとされるが、農作業請負を専業とする業者もある。

農作業請負事業を展開しているプレーヤーは、農機の輸入販売企業や財閥傘下企業など。

請負業者の事業実態

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富裕農家は保有する大型農機でサイドビジネスを行う

農機マーケット拡大の可能性

農機購入促進のためには、低金利ローンなど、農業金融による農家への支援が必要となる。

他方、大・中規模の農作業請負業者への販売は潜在性が高い。

▼ 詳細データは、NNA発行「ミャンマーにおける農業ビジネスの現状と展望」に収録されています。

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